清水エスパルス、J2降格の真相。発端は5年前の「事件」 (3ページ目)

  • 望月文夫●文 text by Mochizuki Fumio
  • 松岡健三郎●撮影 photo by Matsuoka Kenzaburo

 やや独裁的な面が見られたゴトビ監督の体制下では、就任当初から不穏な空気が立ち込めていた。選手からも早々に不満の声が漏れ、またも多くの主力選手が流出。2012年までに、高原、小野、小林に加えて、DF岩下敬輔(現ガンバ)、MF枝村匠馬()らクラブ生え抜きの主力選手まで、次々にチームを去っていった。
※2012年シーズン途中にセレッソ大阪に期限付き移籍。その後、名古屋グランパス、ヴィッセル神戸を経て、今季から清水に復帰。

 そうした流れを、フロントの強化担当も食い止めることができず、十分な補強もできないまま、チームは迷走を繰り返した。その結果、2012年、2013年シーズンはなんとか9位という順位を保ったものの、2014年シーズンはついに序盤から低迷。シーズン途中から、クラブOBの大榎克己監督が就任するも、乏しい戦力では加速する悪い流れを止める術もなく、15位で残留するのが精一杯だった。

 そして迎えた今季、「相手に脅威を与える攻撃を見せる」(左伴社長)と、数億円の資金を投じて元ナイジェリア代表のFWピーター・ウタカと、MFミッチェル・デューク(オーストラリア)ら助っ人を獲得したが、もはや付け焼刃的な補強ではどうにもならなかった。ファーストステージは最下位。セカンドステージに入ってからも、浮上するきっかけさえつかめず、力尽きた。

 チームOBの解説者は、フロントの責任を重く見ている。

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