福田正博が分析。ハリルJの「決定力不足」の原因は何か (3ページ目)

 ただし、縦に速い攻撃が「無理だ」と判断した場合にどうするのか。どう相手を崩すのか。そこのアイデアが、東アジアカップではあまり見られなかった。

 今後、欧州組が招集されればチームのクオリティは上がり、チャンスの数は増えると思う。だが、スプリントを繰り返す「縦に速いサッカー」を高温多湿のアジアで90分間続けるのはフィジカル的に厳しいだろう。それだけに、ほかの戦い方も選択肢として準備していくべきではないか。

 欧州や南米のチームと比べて、日本はフィジカルが弱い。そのため、「フィジカルのレベルアップ」を選手に要求することはもちろん大切だが、それだけではただの“ないものねだり”になってしまいかねない。

 フィジカル強化と並行して、ほかの具体策がハリルホジッチ監督から示されることに期待したい。現有戦力で実現可能な、より相手を上回ることができる戦術を複数持つことも、勝つために必要なことだ。

 また、選手の「個の力」頼みだけになることも避けたい。現在の日本で、メッシのような驚異的な「個」が急に現れることはないだろう。個の力がそこまで強くなく、決定力が低いのであれば、チーム全体で決定機を増やす方策を模索すべきだ。それを構築するのが監督の仕事であり、より多くのシュートチャンスを作るための組み立てや戦術を、選手に教えこんでいくことが重要になる。

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