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これぞキング・カズ。驚愕の「若き日の武勇伝」 (2ページ目)

  • 渡辺達也●取材・文 text by Watanabe Tatsuya 山添敏央●撮影 photo by Yamazoe Toshio

 後に結婚する設楽りさ子さんとの出会いも衝撃的だった。1986年、パルメイラスの一員として、カズがキリンカップで来日した時だった。カズは、当時JALのキャンペーンガールとして、週刊誌のグラビアを飾っていたりさ子さんにひと目ぼれ。知り合いの記者に「この子の連絡先、調べてきてよ」と直訴したのだ。

その記者は、さすがにりさ子さんが所属している芸能事務所の電話番号ぐらいしかわからなかった。そして数日後、カズが宿泊していた都内のホテルを訪ねた。

記者が「設楽さんの連絡先ですけど......」と言うと、「もう大丈夫、さっき一緒にお茶していたから」という返事。さすが、こうした行動も速かった。

 同じ頃、静岡県出身のテレビ局のディレクターがカズに会いにいったとき、こんなやりとりがあった。

「僕、カズさんと一緒で静岡出身なんです」
「高校、どこ?」
「静岡高校です」
「進学校だ。大学は?」
「東大です」
「じゃあ、漢字いっぱい知ってんだ。俺、高校1年でブラジルに行ったから、漢字、全然知らないんだよ」

カズは、まったく飾らなかった。

 そして、国立競技場を貸し切って番組の収録をした時に、カズがディレクターに聞いた。

「国立は、サッカーで満員になるの?」

当時、サッカーはメジャーなスポーツではなく、社会人サッカーリーグであるJSLの試合を国立競技場で開催しても、客席はガラガラだった。ディレクターは答えた。

「高校選手権の決勝ぐらいですね」

それを聞いたカズは、こう言い切った。

「俺が、サッカーで国立を満員にするよ」

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