2015.07.18

【育将・今西和男】 森保一「プロ選手も、日本代表も教えのおかげ」

  • 木村元彦●文 text by Kimura Yukihiko
  • photo by Kyodo News

『育将・今西和男』 連載第1回
門徒たちが語る師の教え サンフレッチェ広島監督 森保 一(1)

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サンフレッチェ広島を率いて、Jリーグ2連覇を 達成した森保一監督
 3月31日。広島市内の某所、テレビ画面ではCKを前に左手を上げる乾 貴士(フランクフルト)が映っている。チャレンジカップのウズベキスタン戦である。弧を描いたボールがGKのパンチングによって弾き飛ばされた。球体がペナルティエリアの外に勢いよく転がり出て日本のチャンスが潰えた、と思えたそのときである。

「青山だ」と今西がつぶやくように言った。刹那、ボールを追ったカメラ映像の右隅から、背番号28が飛び出して来た。青山敏弘(サンフレッチェ広島)が豪快に右足を振り抜くと、糸を引くようにボールはゴール右隅に吸い込まれた。一瞬たりとも集中力を切らさなかったことが、ミドルレンジからのスーパーボレーを生んだ。そして、青山の活躍を予見した今西。そこにはサンフレッチェ広島の世代を超えた見えない絆が繋がっているように思えた。

 翌日、吉田町のサンフレッチェ練習場で、この話題を森保一監督にぶつけてみると、うなずきながらこう言った。

「本当に青山は、マツダ時代から今西さんが作り上げて来た広島のDNAを受け継いでいる選手だと思います。技術の高さももちろんありますが、試合に入って、ひたむきにやり続ける実直さや周りの人のことをリスペクトする謙虚さは、今西さんが僕らに教えたものを彼が今、引き継いでいるんです」

 森保さんのプレースタイルに似ている部分がありますね、と言うと、苦笑した。

「泥臭いところは似ていると思いますが、彼はそのうえにテクニックがありますから。昨日もそこが見えているのか、と驚かされた時間があったと思います。あんなミドルや攻撃技術を僕は持っていなかったです(笑)。それは別として、チームのために戦うという姿勢は確かにそうかと思いますね」