福田正博が解説。
「ゴール職人」佐藤寿人のすごさはどこにある?
佐藤寿人(広島)がJ1の2ndステージ開幕戦の仙台戦で2ゴールを決め、01年(当時ジェフ市原所属)に初ゴールを決めてから積み上げてきたJ1リーグ通算ゴール数を154に伸ばした(J2通算得点は50)。
あと3ゴールで歴代1位の中山雅史氏の157ゴールに並ぶ。寿人が記録を更新するのは時間の問題だろう。
今シーズン、7月20日時点で9ゴールの佐藤寿人 photo by Matsuoka Kenzaburo 寿人は身長170cmと、高さに恵まれているFWではなく、スピードやドリブルもズバ抜けているわけではない。それでも、2004年から毎年二桁得点を記録し続けており、2012年にはシーズン22ゴールで得点王にも輝いている。
彼の最も優れている点は、ボールのないところでの動き、「オフ・ザ・ボールの動き」だ。
ゴール前でパスを受けても、角度や体勢が悪いと難しいシュートになってしまい、ゴールが決まる確率は低くなる。だが寿人は、ゴールの確率を高めるために、体の向きやポジショニングを常に意識し、難しいシュートを打たなくてすむように、少しでも簡単なプレーでゴールを決めようと準備をしている。そして、そのための相手DFとの駆け引きや動き直しを、90分ずっと続ける。
だからこそ、ワンタッチでゴールを決めることができるのだ。
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著者プロフィール
福田正博 (ふくだ・まさひろ)
1966年12月27日生まれ。神奈川県出身。中央大学卒業後、1989年に三菱(現浦和レッズ)に入団。Jリーグスタート時から浦和の中心選手として活躍した「ミスター・レッズ」。1995年に50試合で32ゴールを挙げ、日本人初のJリーグ得点王。Jリーグ通算228試合、93得点。日本代表では、45試合で9ゴールを記録。2002年に現役引退後、解説者として各種メディアで活動。2008~10年は浦和のコーチも務めている。