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福田正博が解説。
「ゴール職人」佐藤寿人のすごさはどこにある? (2ページ目)

  • 津金一郎●構成 text by Tsugane Ichiro

 DFにとって、寿人のようにボールをもらう前のポジショニングで勝負するストライカーを止めることほど厄介なことはない。たとえ90分間ほとんどの時間で仕事をさせなくても、たった一度だけ、一瞬の隙を突かれてしまうと、失点してしまう。

 高さやスピードなど、特長が明確なFWならば、DFはその特長を発揮させないように抑え込めば脅威を減らせる。しかし、オフ・ザ・ボールの動きが特長のFWとなると、捕まえるのは難しく、対策を事前に練ることも難しい。

 ストライカーの『オフ・ザ・ボールの動き』というと、「ただフリーになること」と勘違いされることもあるが、実はそうではない。重要なのは、相手DFが隣にいても、一瞬早くDFよりも先にボールに触れてゴールに押し込むことであり、そのためにボールのないときに準備をするということだ。

 昨年のW杯ブラジル大会のデータからも明らかだが、もっともゴールが生まれるエリアは、ペナルティエリア内だ。W杯ブラジル大会は171本のゴールが決まったが、このうち、ペナルティエリア外から決まったシュート数は約1割しかなかった。つまり、残りの約90%はペナルティエリア内で生まれている。

 この数字からもわかるように、ゴールをより多く決めるためには、ペナルティエリア内でのポジショニングの精度を高めることが求められる。ただし、ペナルティエリア内にはシュートをするための時間もスペースもない。そもそもFWがフリーになれることはほとんどない。もしフリーになれたとしても、角度がないなど、シュートが決まる確率が低い場所だ。

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