柏・工藤壮人が語る「ACLはJリーグと何が違うのか」 (6ページ目)

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki photo by Getty Images

「Jリーグと比べ、ACLで対戦するクラブは守備の強度が全然違う。相手は本気で潰しに来るというか。そこでいかに相手と戦うのか、ディフェンダーが自分に向けてくる“矢印をどう折る”のか、そこの駆け引きが楽しいんですよ」

 彼は放胆に言い放つ。矢印を折るとは何か。身長177cmと大柄ではないが、ポストワークでは相手との間合いを計り、先に体をぶつけ、敵の圧力を逃す。体格差を埋める技量が彼にはある。力任せに突っ込んでくるディフェンダーはファウルに誘い込むか、入れ替わってしまう。その上で、持ち前のボールスキルの高さを十全に発揮する。

 厳しい条件を戦うことで、ゴール前での能力は磨かれるはずだった。

 2015年2月7日。柏はACLプレイオフを日立台柏サッカー場でチョンブリ(タイ)と戦い、延長戦にもつれ込んだ末に3-2と勝利を収めている。40本近いシュートを浴びせただけに、もっと楽に勝てたはずだが、どうにか本大会出場を決めた。

 右FWとして先発した工藤は77分に交代している。平素から志の高い彼にとって、その勝利には苦さも混じった。彼に言わせれば、「シーズンのスタートラインに立てた」に過ぎなかった。(続く)

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