柏・工藤壮人が語る「ACLはJリーグと何が違うのか」 (2ページ目)

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki photo by Getty Images

 2014年12月、千葉県柏市。JR柏駅前で賑わうイタリアレストランは洒落た雰囲気で、女性客の方が多かった。

 工藤壮人はその風景の中に溶け込んでいた。慣れた様子で店員にパスタランチを注文する。言葉遣いは丁寧で畏(かしこ)まってすらいて、一瞬、どこにでもいる大学生のようにも映る。隣に座っていた男性客は地元で有名なサッカー選手の存在に気づき、そわそわとした雰囲気が流れるが、工藤は泰然とした様子のまま、コップに注がれた水をゴクリと飲んだ。

 Jリーグは、2014年シーズンの日程がすべて終了していた。工藤の所属する柏レイソルは最後にサガン鳥栖を追い抜き、4位でACLプレイオフ出場権をつかんだ。それは一つの収穫だった。

 もっとも、ゴールゲッターである工藤個人にとって、満足できるシーズンだったとは言い難い。リーグ戦は7得点。前年度が19得点だったことを踏まえれば、悔しさが残った。日本代表としても、アジア最終予選からメンバー入りし、東アジア選手権では優勝に貢献していたにもかかわらず、ブラジルW杯のメンバー入りは逃した。

<世界を舞台に戦う>

 勝負に貪欲なストライカーにとって、心の折り合いを付けるのに必死な1年だった。

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