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豊田陽平「アジア杯の代表に一丸となって戦う手応えはなかった」 (3ページ目)

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki photo by AAP Images/AFLO

 豊田はオーストラリアで日々を送る中、“鳥栖に戻り、きついトレーニングをしたい”という欲求に駆られていったという。

<一から体を作り直そう>

 彼はそう決意して帰国した。チームからは4日間のオフをもらったが、軽めに動き続けていたという。1日だけは佐賀県内の温泉につかり、溜まった疲れを癒したが、プレシーズンキャンプに入ると体をいじめ、鍛え抜いた。“Jリーグが終わってからほとんど休みがなく、疲れを引きずったままで大丈夫か?”という不安は、積極的に行動をすることで打ち消されていった。

「沖縄キャンプも、普段以上にやれましたね。やっぱりメンタルが大事ですよ」

 豊田は、自分自身が吐き出した声に納得したように頷(うなず)いた。

「『精神は肉体を凌駕する』という言葉がありますが、結局はメンタルだなと実感しました。戦術技術体力といろいろありますけど、結局それら全部を支えているのはメンタルで。甘い生活を送り、“たりぃ”みたいになってしまったら、勝負にならないし、進歩もない。日々、心を鍛えることで力を出せる許容範囲のようなものが広がっていく気がするし、足りない部分をカバーできるんだと思います」

 彼は常に自分と対話してきた。自らを信じる、そこに到達できたとき、いい結果を生み出すことができたのだった。その成功体験が、彼の支えとなっている。

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