ガンバ遠藤保仁が語るV2「2005年のチームと違う強さ」
Jリーグ最終節(第34節/12月6日)、首位のガンバ大阪(勝ち点62)は最下位の徳島ヴォルティスと対戦。勝てば、他会場の結果に関係なく、優勝が決まる一戦だったが、スコアレスドローに終わった。しかし、同じ勝ち点62で並んでいた2位の浦和レッズが名古屋グランパスに1-2と敗戦。3位の鹿島アントラーズ(勝ち点60)もサガン鳥栖に0-1で敗れて、ガンバが2005年以来、9年ぶり2度目の栄冠を手にした。
第19節(8月9日)からずっと首位を走ってきたレッズとは、最大で勝ち点14差もあった。それが前節(第33節/11月29日)、ついにその差がなくなり、得失点差で上回ったガンバが首位に立った。そして、昨季はJ2の舞台で戦ってきたチームが、そのままJ1復帰早々頂点を極めた。まさに奇跡の逆転劇であるが、ガンバはどうやってその"奇跡"を起こすことができたのだろうか――。
2005年以来、9年ぶり2度目のリーグ制覇を果たしたガンバ大阪。 ブラジルW杯開催による中断前、第14節(5月17日)を終えて、ガンバはJ2降格圏内の16位に低迷していた。その理由のひとつは明確だった。
FW宇佐美貴史の不在だ。
開幕までまもなくという2月中旬、練習中に左足首を負傷。全治まで8週間と診断された。"エース"の突然の離脱に、チームは混乱した。リスクマネジメントが不十分で、FWにはケガから復帰したばかりの佐藤晃大と、今季新たに獲得したリンス(ブラジル)しかいなかったからだ。
リンスは、ガンバ、そしてJリーグのサッカーに慣れるまでに、まだまだ時間が必要だった。佐藤はブランクがあり、実戦の感覚を取り戻すのに時間がかかった。結果、トップの人材を固定できず、ガンバの得点力は低下。3月1日の開幕からおよそ2カ月間は勝ち切れない試合が続き、2連敗、3連敗を喫するなどして、低迷した。
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