豊田陽平、ブラジルW杯と鳥栖監督交代を語る
連載・世界に挑む男たち~豊田陽平(6)
2014年8月30日、ベストアメニティスタジアムでの清水エスパルス戦を終えた豊田陽平は、市内にあるフランチャイズチェーンの定食屋にいた。知り合いの挨拶に回っていたら、23時を過ぎてしまい、どこも飲食店が空いていなかった。
「たまに一人のときに軽く食べに来るんですよ」
販売機で食券を購入するのに、彼は迷わずに生姜焼き定食と卵焼きを選んだ。
甲府戦でゴールはならなかった豊田陽平(サガン鳥栖) 清水戦は終了間際の得点で引き分けたとは言え、後半に先制点を取った"勝ち試合"だっただけに、安堵よりも後悔の方が強かった。
「同点にされた後、チーム全体が"しゅん"となってしまった。それで最近は失点が多くなっているのかもしれません」
豊田は冷静にそう分析した。深夜でラストオーダーも終わり、お客さんのいなくなった定食屋はひっそりとしたものだった。サガン鳥栖は電撃的な監督交代というアクシデントから、公式戦5試合(天皇杯1試合を含む)を戦っていた。
「突然のことでしたから驚きましたよ。その気配すら、僕ら選手は感じていませんでしたから。ただプロ選手である以上、クラブに雇われている身なので、"クラブの判断に従うしかない"というのが率直な感想ですね」
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