OB名波浩が指摘する。J2で足踏みするジュビロの問題点

  • 藤田真郷●撮影 photo by Fujita Masato

名波浩の視点

 J2に降格したジュビロ磐田。今季は1年でのJ1復帰を目指しながら、第7節でギラヴァンツ北九州に2-3で敗れて早くも2敗目を喫すると、第8節でも横浜FCと2-2で引き分けた。

松井大輔をはじめ、個の力でチャンスを作っているジュビロだが......。松井大輔をはじめ、個の力でチャンスを作っているジュビロだが......。 横浜FC戦では、相手の高い位置からの組織的な守備と、そこから展開される厚みのある攻撃に苦しんだ。特に立ち上がりは、相手の勢いに押されて受けて立つ感じになってしまい、守備のラインがズルズルと下がってしまった。結果、自陣でセカンドボールを拾われるシーンが目立ち、開始5分に先制ゴールを許した。

 この日は、センターバックの菅沼駿哉が負傷。急遽代役を務めたのは、J初出場のDF木下高彰だった。主軸のDF伊野波雅彦とは練習でもほとんどコンビを組んだことがなく、その分、コミュニケーション不足だったこともある。ゆえに、敵FWの黒津勝に複数の選手が引っ張られたり、チームとしてやらなければいけないことをやれていなかったりして、何度もピンチを招いた。

 ただ、守備の問題はこの試合に限ったことではない。開幕からずっと守備は安定していない。J2では屈指の戦力をそろえながら、第8節を終えてJ1自動昇格圏外の3位(勝ち点14。1位=湘南ベルマーレ/勝ち点24、2位=V・ファーレン長崎/勝ち点17)という位置にとどまっているのも、それがすべてと言っても過言ではないだろう。

 実際、8試合を終えて(22チーム中)リーグワースト7位タイの11失点。昨季J2で、ジュビロと同じようにやや出遅れたガンバ大阪でも、第8節終了時点で8失点だった。J1昇格を狙うチームとしては、試合数を超える失点数というのはさすがに多い。

 その原因は、ボールを単純に失ってしまうようなミスではなく、相手がフィニッシュにかかる最後のところの対応。わずかなポジショニングのミスがあったり、ちょっとした油断というか、体を投げ出すべきところで投げ出さなかったりしてやられている。

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