ストライカー・柿谷曜一朗の最大の長所とは何か? (2ページ目)

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 また、柿谷は姿勢がよく、ヘッドダウンしないため、視野が確保できている。視野が確保できるということは、情報がたくさん入ってくるということなので、あわてることがない。情報がないと、想定外のことが増えてしまうが、情報がたくさんあれば、想定内のことが増えるので、冷静に対応できる。

 そして、適切な場所にボールを置くことがシュートコースを広げることを彼はよく分かっている。韓国戦の1点目の時も、最初にヘディングでボールをコントロールできていたので、最後はGKの逆をついてシュートができた。あの場面、柿谷は左右どちらのサイドにも蹴れるところにボールを置いたので、GKは判断が非常に難しくなっていた。つまり、GKが左右どちらかに倒れるまで、蹴る方向を変えられるところにボールを置けたので、駆け引きが有利になったということだ。

 もしトラップが乱れてボールが少しでもサイドに入っていたら、左右どちらかのシュートコースはなくなっていたはずだ。そこのほんの少しの体とボールの角度の違いで、ゴールになるかならないかが決まる。

 また、柿谷は体幹がしっかりしているのでボディバランスがよく、軸がぶれない。身体の強さがあり、コンタクトスキルを持っている選手だと思う。177cmと体はそんなに大きくないが、ヘディングの競り方がうまく、DFに体を当ててからキープもできる。だからこそ、ザッケローニ監督も、練習や試合で見て、2列目だけでなく、ワントップでもいけると思ったのではないだろうか。

 そして、東アジアカップ初戦の中国戦、ニアサイドに入ってヘディングで決めたゴールを見ても、点を取るツボを心得ている。あそこのエリアに入っていくタイミングは、実はオフサイドラインが非常に気になるところなので、出し手と受け手のタイミングが合わないとゴールにつながらない。あの場面、柿谷は左SBの槙野智章が蹴りやすいタイミングで動き出していた。そこが非常に重要で、実は「パスを引き出す動き出し」がないと、あのゴールは生まれない。

 柿谷は、華麗なゴールを取りざたされることが多いが、ああいう形で泥臭くニアに飛び込んでヘディングで決めることもできる。そこは、FWとして非常に評価できる点だ。あれは完全に「ストライカーの動き」で、柿谷はその感覚を持っているといえる。

 また、中国戦の工藤壮人のゴールをアシストしたシーンのように、ドリブルでしかけていって、シュートできるエリアまで持っていけるので、相手DFが柿谷に引きつけられる。だからこそ、サイドにいた工藤へパスを出せたということだ。同時に、視野が広いという柿谷の特長がよく表れていたともいえる。

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