【Jリーグ】F・マリノス今季無敗。絶好調の秘訣は「オヤジ力」 (2ページ目)
リーガ・エスパニョーラでは、レバンテというクラブが昨季から上位を争う躍進を見せている。その好調の秘訣は、「オーバー30の選手でディフェンスラインを組んだことにある」と言われる。経験から勝負の本質をわきまえた選手たちは、あうんの呼吸で守ることができるのだという。たとえば、クリスティアーノ・ロナウドを擁するレアル・マドリードを封じたとき、スピードでは完全に後手に回ったものの、カバーリングと間合いでぎりぎり踏みとどまっていた。
ベテラン選手はいい意味で、自分の限界を知っている。若い選手が気持ちに任せて飛び出してしまうところを耐え忍び、したたかに守ることができる。何ができるか、何かできないのか、それをわきまえているからこそ、落ち着いて物事に対処し、その姿は全体の中で重石となる。バックラインの安定が、前線も含めての粘り強い戦いにつながっているのだ。
もっとも、マリノスは中盤から前にも、要所にベテラン選手が陣取っている。
ボランチの富澤清太郎は30歳、攻撃的MFの中村俊輔は34歳、そしてFWのマルキーニョスは37歳。彼らは崩れかかりそうなときに味方をフォローし、相手が脆(もろ)さを出した部分を残忍にえぐることができる。
とりわけ、マルキーニョスの貢献度は大きい。前線でボールを収め、スペースを作り出し、マークを外し、得点もする。お手本のようなプレイを見せている。戦い巧者が揃った陣容が、開幕からの勝利をもたらしていると言えるだろう。
しかしながら、マルキーニョスやドゥトラが体力的に苦しい夏場を乗り切り、さらに優勝戦線が激しくなる10月~11月まで、フルシーズンをトップコンディションで戦いきれるとは考えにくい。他のベテラン選手の『勤続疲労』も、後半戦は目立ち始めるだろう。もし、2004年以来のリーグ優勝を望むのであれば、若手の台頭は欠かせない。
その点、キーマンとなるのは、ロンドン五輪にも出場した得点力のあるサイドアタッカー、齊藤学だ。ケガで開幕は出遅れたものの、途中出場したベルマーレ戦、エスパルス戦で勝利の立役者のひとりになっている。齊藤の突破力は、今のJリーグでは屈指。さらなる得点能力とすごみを身につけたことで、世界への道も広がるはず。彼の活躍がなければマリノスの優勝はない、と断言してもいいだろう。
また、ファビオ、比嘉祐介、熊谷アンドリュー、そして端戸など、若手がそれぞれのポジションでバックアッパーとして成長することも、優勝の条件のひとつになる。
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