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【高校選手権】激戦の大会を彩った、未来の「日本代表」候補 (2ページ目)

  • 浅田真樹●文 text by Asada Masaki
  • 木鋪虎雄●撮影 photo by Kishiku Torao

 ただし、ベスト8に進出した帝京長岡の小塚を除けば、こうした逸材を擁する高校がことごとく初戦敗退に終わったのも、今大会の特徴である。他にも"J内定2トップ"の浅野拓磨(3年/サンフレッチェ広島入り内定)、田村翔太(3年/湘南ベルマーレ入り内定)を擁する四日市中央工が初戦で敗れている。世代屈指のタレントを擁してもなお、簡単に勝ち上がらせてはくれない。それが現在の高校選手権なのである。

 だが、前評判の高かった有望選手であっても楽に活躍できない大会は、言い換えれば、高校サッカー全体の裾野が広がり、選手層が厚くなったことの証明でもある。高校年代の優れた選手がJクラブのユースチームに流れるようになり、高校から突出したタレントが生まれにくくなっているのは事実だが、高校サッカーもまだまだ捨てたものではない。

 例えば、ベスト4に進出した桐光学園のMF松井修平(3年)が見せるパスや、MF橋本裕貴(3年)のドリブルからは非凡な才能が感じられたし、星稜のDF寺田弓人(2年)からはセンターバックとして、今後の成長を期待させるスケール感が伝わってきた。

 現段階ではJクラブのユースチームに所属する選手に比べ、実績で劣るとしても、将来が期待できる選手は少なくなかった。現在の日本代表を見ても、高校時代は決して目立つ存在ではなかった選手もおり、当然、彼らの中から未来の日本代表選手が生まれる可能性は十分にある。

 もちろん、それは初の決勝進出を決めた2校についても言えることだ。

 京都橘の2トップ、すなわち、テクニックに優れたFW仙頭啓矢(せんとう・けいや/3年)と、類まれなスピードを誇るFW小屋松知哉(2年)のふたりが生み出す抜群の得点力は、高校サッカーにもまだまだ"掘り出し物"が隠されていることを印象づけた。

 また、対する鵬翔にしても、1年生FWの北村知也をはじめ、MF東聖二(3年)、MF小原裕哉(2年)など、基本技術に優れた選手がそろっている。鵬翔・松﨑博美監督は、初の決勝進出を「神がかり」と評したが、それが起こりうる下地は十分に整っていたということだ。

 誰もが認める逸材は確かにいた。だが、光る原石とは、意外なところにも転がっているものである。

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