【Jリーグ】レッズ、優勝に望みをつなぐ奇跡の逆転劇はこうして生まれた (2ページ目)

  • 浅田真樹●文 text by Asada Masaki
  • 山添敏央●撮影 photo by Yamazoe Toshio

 FWポポが振り返って言う。
「ボールがバウンドした瞬間に(ボールの)スピードが落ちたので、届くだろうと思った。これは走るべきだ、と」

 力なく弾むボールへ猛然と駆け寄った背番号16は、柏MF栗澤僚一と競り合いながら体を投げ出す。すると、強引に伸ばした足先にわずかに触れたボールは、飛び出してきたGKの脇を抜けて、浦和の執念に後押しされるかのように柏ゴールへと転がった。

 遠く離れた場所からボールの行方を見守っていた、DF永田充は言う。
「最後(の決勝点)は崩して取ったわけではないけど、チーム全員で戦っていたので、その気持ちで入ってくれたんだと思う」

 最後の最後で、ついに勝ち越し。浦和が優勝争いに踏みとどまった瞬間だった。

「正直、1-1で終わるのかな、と思った」
 同点ゴールを決めたMF梅崎司が、そう胸の内を明かしたように、浦和は最後まで苦しんだ。ロスタイム突入直前には、MF柏木陽介が決定機をつかんでいたが、それも決められなかった。

「チャンスに決められず、もし引き分けていたら、相当ヘコんでいた。ポポに感謝しているし、チーム全員で取った勝ち点3だと思う」
 柏木自身、そう言って振り返る勝利は、それだけに大きなものだった。

「鳥肌が立つくらい劇的な勝利」
 MF平川忠亮は、そんな表現で歓喜の瞬間を振り返った。

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