【Jリーグ】セレッソ・柿谷曜一朗、「天才」は本当に復活したのか? (3ページ目)

  • 浅田真樹●文 text by Asada Masaki
  • photo by Sugimoto Akihiro/AFLO SPORT

 以前は攻撃のとき――しかもボールを持ったとき――にしか力を発揮できない天才肌の選手だったが、今節の鹿島戦を見ても、明らかに守備の意識は高くなっている。結果的にドゥトラのドリブルを止めた柿谷のスライディングタックルがファールとなり、小笠原満男に決勝点となるFKを決められたのは皮肉だったが、柿谷の素早い帰陣が鹿島のカウンターを封じる場面もあった。

 本人が「(ゴールを量産できているのは)自分の何かが変わったわけではなく、チームとしてやるべきことをやれているだけ」だとするのも、うなずけるところである。

 かつての天才少年は、サビついていない技術に加え、フォア・ザ・チームの献身を携えて、ひと回り成長した“大人のサッカー選手”としてセレッソに戻ってきたのだ。

 とはいえ、U-16、17日本代表の一員として、国際大会でスーパーゴールを連発していたころの彼を知る者にとっては、まだまだこの程度では物足りないのも事実である。本来ならば、中心選手としてロンドン五輪へ行っていなくてはいけなかった選手なのだ。

 柿谷はJ1の舞台で、ようやく自らの才能を誇示しはじめたばかり。自分の力はこんなものではない――。今の彼のプレイや言葉からもまた、そんな強い気持ちがうかがえた。

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