【名波浩の視点】好調・広島、リーグトップの得点力を生み出す「仕掛け」

ジュビロに快勝して、前半戦を2位で折り返したサンフレッチェ。ジュビロに快勝して、前半戦を2位で折り返したサンフレッチェ。 シーズンの折り返し地点となるJリーグ第17節、2位のサンフレッチェ広島と3位のジュビロ磐田が対戦し、広島が2-0で勝利。勝ち点33の2位(首位ベガルタ仙台は勝ち点35)という好成績で前半戦を終えた。

 試合は立ち上がり、広島にとっては苦しい展開が続いた。磐田の強烈なハイプレッシャーの前に、最終ラインから組み立てる得意の形が作れなかった。ボランチの森崎和幸が下がって効果的なつなぎを見せるとか、最終ラインの千葉和彦からのくさびボールでリズムを作るといったパターンが陰を潜め、GK西川周作が苦し紛れにロングボールを蹴るシーンが目立った。普段どおりの組み立ても何度か試みるのだが、ミスを連発し、成す術がなかった。

 しかし後半、GKの西川にボールを下げたら、よりシンプルに前線に配球するようになると、徐々にペースを握り始めた。ルーズボールに対するサポートの厚みを増して前線でキープできるようなり、逆に前半、あれだけ相手ボールへの密集が速かった磐田のラインが後退。全体の比重が後ろに傾いて、広島がチャンスを生み出すようになった。

 そして76分、ボランチの青山敏弘と代わった中島浩司が自らのタテパスからゴール前に飛び出して先制。これが、勝敗を決するポイントだった。後方の選手でも果敢に仕掛けて得点につながる仕事をするという、中島がかつてジェフ千葉時代に培った『オシムイズム』や、昨年までのミハイロ・ペトロヴィッチ監督に叩き込まれた『ミシャスタイル』のいいところを、森保一監督のサッカーのもとでも見事に実践。中島の出場は今季2戦目ながら、森崎和が「あのゴールはヤバイ」と絶賛するほどで、広島の好調ぶりを象徴する一発だったと思う。

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