サッカー日本代表が見習うべきエクアドルの再スタート 敗れても目立った変化を恐れない姿勢 (3ページ目)
「Bastante Parejo」(かなり拮抗していた)
ガジャルド監督は日本戦をそう総括したが、就任2試合目でも手応えを滲ませた。後半には3バックも試し、うまくいかないと再び4バックに戻すなど、フォーメーションや選手を積極的に変更していた。後半、多くの選手を入れ替えると、持ち前の精強さを失い、ノッキングする箇所が多くなったが、強くなるための過程だろう。
一方の日本は、エクアドルに一歩も譲らなかったが、ホームであることを考慮すれば、90分で勝たないと及第点とは言えないだろう。強みも、弱みも浮き彫りになった。主力は十分に真っ向勝負できるが、得点を奪えなかった。守備はウイングバックのところが破綻しかけたが、瀬古歩夢らが奮闘してゼロに抑えた。
森保監督は試合後の会見でこう語っている。
「エクアドルは強度が高く、南米らしく駆け引きも巧みで、そのなかで我々が"何ができて何ができないか"のところで、今後につながる試合をさせてもらえました。南米勢に確実に勝つ力をつけられるか。それが世界一を達成するのに大きなポイントなので」
森保ジャパンは南米勢と3試合を戦ったが、主力に入ってきそうな新メンバーはひとりも見つかっていない。サッカーのプレーモデルも、ウイングバックが高い位置でプレーし、枚数をかけた時は戦術的優位性が出るが、ウイングバックが下がった時はあいかわらず脆かった。システムの多様性も乏しい。鎌田もしくは久保がいないと、サッカーを作り出す回路が不具合を起こすところは深刻だ。
「鈴木彩艶のキックがすごい!」
そんな部分的なところが大きく取り上げられるのは、あまりに安直だ。
エクアドル戦ではGK鈴木がロングパスを見事に通すと、歓声が大きく沸いた。たしかにキック自体は見事だった。しかし、すべてが通ったわけではなく、エクアドル陣営は十分に対処できていた。"一気に敵陣へ"というパスはあくまで飛び道具で、しっかりつないで運び、相手を崩すというトライを後回しにするべきではない。少しでも依存すると、攻撃は単調なものとなる。
10月5日、国立競技場。日本はキリンカップの"優勝"をかけて北中米ワールドカップにも出場したニュージーランドと対戦する。
著者プロフィール

小宮良之 (こみやよしゆき)
スポーツライター。1972年生まれ、横浜出身。大学卒業後にバルセロナに渡り、スポーツライターに。語学力を駆使して五輪、W杯を現地取材後、06年に帰国。著書は20冊以上で『導かれし者』(角川文庫)、『アンチ・ドロップアウト』(集英社)など。『ラストシュート 絆を忘れない』(角川文庫)で小説家デビューし、2020年12月には『氷上のフェニックス』(角川文庫)を刊行。パリ五輪ではバレーボールを中心に取材。
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