【ワールドカップ】才人チアゴ・アルカンタラが指摘する日本代表に足りなかったもの「規律ある安定したチームだったが...」 (3ページ目)
【よりよい位置まで球を運んでからシュートを打つ】
すると同席したシュマイケルが、「ヴィニシウス・ジュニオールのようなエゴを持つ選手が必要だということかな? 組織が統一された慎ましい日本のチームのなかに、そのようなスター選手や、オレがやってやる! と名乗りを挙げるような選手がいれば、決勝トーナメントも勝ち上がれるようになるかな?」とチアゴに訊いた。
「ポジティブな傲慢さ(を持つ選手)、と言ったらいいかな」とチアゴは続ける。
「たとえば、後半の序盤に日本の選手(上田綺世)がボールを持った時、彼は(ゴールまで距離のある位置にもかかわらず)とにかくシュートを打とうとして、即座に打った。そうではなく、目の前の相手に勝負を挑み、よりよいポジションまでボールを運んでからシュートを打つ。ヴィニシウス・ジュニオールのような選手は、常にこうした勝負に挑み、失敗することもあるが、成功することもある」
逆転ゴールを決めたガブリエウ・マルティネッリがまさにそうだった。66分に投入されると、鋭く動き回って味方にボールを要求し続け、絶対に自分が試合を決めてやる、という気概を全身から発していた。そして彼は、その強い願望を形にしたのだ。
ただ傲慢さなら、「優勝します」と言ってはばからなかった日本代表の関係者全員が備えていたとも思う──8強にさえ残ったことのない国の代表チームがそう宣言するのは、ワールドカップというものを理解していない傲慢な言動と言って差し支えないはずだ。ポジティブな傲慢さは、ピッチ外の奇妙な空気作りではなく、ピッチ上で発揮すべきものなのだろう。
著者プロフィール
井川洋一 (いがわ・よういち)
スポーツライター、編集者、翻訳者、コーディネーター。学生時代にニューヨークで写真を学び、現地の情報誌でキャリアを歩み始める。帰国後、『サッカーダイジェスト』で記者兼編集者を務める間に英『PA Sport』通信から誘われ、香港へ転職。『UEFA.com日本語版』の編集責任者を7年間務めた。欧州や南米、アフリカなど世界中に幅広いネットワークを持ち、現在は様々なメディアに寄稿する。1978年、福岡県生まれ。
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