検索

【ワールドカップ】才人チアゴ・アルカンタラが指摘する日本代表に足りなかったもの「規律ある安定したチームだったが...」 (2ページ目)

  • 井川洋一●文 text by Yoichi Igawa

【1対1の勝負を挑もうとする個がいない】

 むろん、そうした選手は簡単に現れるものではない。以前、欧州のトップクラブに所属していたある日本代表選手の代理人が、こんなことを話していた。

「そのレベルのチームに所属するまでは、日本人選手もできるようになったと思います。ただ、そこで主力を担えるかどうかや、毎試合のようにピッチ上で違いを生み出す選手になれるかどうかは、また別の話なんです。そこには説明しにくい、さまざまな要因があるのでしょう」

 まず考えられるのは、どれほど渇望しているか、だろう。このスポーツの歴史上、スーパースターになった選手の多くが貧困から生まれている。ディエゴ・マラドーナ、ロマーリオ、クリスティアーノ・ロナウドなど、枚挙にいとまがない。今大会の共催国カナダの主将アルフォンソ・デイビスのように、アフリカの難民キャンプで生まれた選手もいる。想像するしかないが、そのような出自の選手のハングリー精神は、ほかとは比べ物にならないはずだ。

 この安全で整った日本社会から、そこまでの渇望を抱いた選手が出てくるのを期待するのは難しそうだ。当たり前だが、日本サッカーの発展のために、極度の貧困が必要だとも思わない。

 では、世界のトップに近づくには、どうしていけばいいのだろうか。そのヒントを、アメリカのワールドカップ放映局FOXの解説者たち──元スペイン代表MFチアゴ・アルカンタラ、元デンマーク代表GKカスパー・シュマイケル、元イングランド代表FWピーター・クラウチ──が、試合後に語っている。

 なかでも、1994年ワールドカップを制した元ブラジル代表MFマジーニョを父に持ち、自身はチャンピオンズリーグを3度制した経験を持つチアゴは、次のように鋭い見識を述べた。

「日本はとても安定した規律あるチームだったが、彼らには欠けているものがある。それは自由に相手に挑んでいく気概だ。そこが足りない。彼らはチームとして実に規律ある動きをするが、1対1の勝負を挑もうとする個がいない。

 たとえば、私が選手の時は常に勝負に勝ちたいと思っていて、苦しみたい、耐えたいと思ったことはない。日本には歴史的に耐える文化があるからか、(ブラジル戦の)後半はひたすら耐えていた。そのなかに、自分がチームを勝たせるんだ! と立ち上がるような選手はいなかった」

2 / 3

  • Googleで優先するソースとして追加

Googleの「優先ソース」について

キーワード

このページのトップに戻る