サッカー日本代表のイングランド撃破に、セルジオ越後は「森保監督や選手たちが大喜びせずに冷静だったのが一番の収穫」 (2ページ目)
【自陣に引いて守る時間が長すぎる】
ここまで明るい話ばかりしてきたけど、今回の遠征で見えた課題を挙げるなら、イングランド戦では自陣に引いて守る時間が長すぎた。相手のほうがチャンスは多かったし、いつやられてもおかしくなかった。
DFを中心にみんな体を張ってよく守り、少ないチャンスを生かして点を取った。それは褒めるべき。でも、そういう戦い方でトーナメントを勝ち上がっていくのは、体力的にも精神的にもなかなか難しい。主導権を握る時間帯をある程度つくる必要がある。カウンター頼みの攻撃パターンをどう増やすのか。選手交代も含めて、もっとメリハリのある試合運びを意識したい。
裏を返せば、まだまだ強豪と対等に戦えるレベルには達していないということでもある。現時点でのベストメンバーを揃えた日本に対し、イングランドはエースのハリー・ケイン(バイエルン)らが不在で、その4日前に行なったウルグアイ戦からも大幅にメンバーを入れ替え、実質1.5軍くらいのメンバーだった。そういう相手にも、ずっと押し込まれてしまうのが現状の力だ。
「よい守りからよい攻撃へ」と言えば聞こえはいいけど、やっているサッカーはドイツとスペインに勝った前回のカタールワールドカップの時と大差ない。ひたすら守ってカウンターを狙うだけ。相手を押し込んで勝てるようにはなっていない。
もっとも、森保一監督も選手たちもそれはわかっているだろう。森保監督は試合後のインタビューで「苦しい展開が多くて、負けていてもおかしくない試合」「このままではダメだと思います」と振り返っていた。
三笘も「(勝ったけど)本番じゃない」と浮かれていなかった。他の選手たちも大喜びする感じではなく、冷静に試合を振り返っていた。昔だったら大騒ぎでしょ。だから、そこが日本の成長であり、一番の収穫じゃないかな。
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著者プロフィール

セルジオ越後 (せるじお・えちご)
サッカー評論家。1945年生まれ、ブラジル・サンパウロ出身。17歳の時に名門コリンチャンスのテストに合格し、18歳の時にプロ契約を結び、MF、FWとして活躍した。「エラシコ」と呼ばれるフェイントを発案し、ブラジル代表の背番号10を背負った同僚のリベリーノに教えたことでも有名。1972年に日本リーグの藤和不動産(湘南ベルマーレの前身)から誘いを受け、27歳で来日。1978年から日本サッカー協会公認の「さわやかサッカー教室」で全国を回り、開催1000回以上、のべ60万人以上を指導した。H.C.日光アイスバックスのシニアディレクター。日本アンプティサッカー協会最高顧問。公式ホームページ【http://www.sergio-echigo.com】
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