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サッカー日本代表がイングランド戦で見せた守備戦術 ワールドカップ本番の強豪相手にも成功するか (3ページ目)

  • 中山 淳●取材・文 text by Atsushi Nakayama

【ミドルゾーンでの守備を機能させた日本】

 試合は、スコットランド戦同様、日本がこれまで通りの方法で4-2-3-1の相手に対して前からプレスを仕掛けようとした。しかし、開始早々から相手のGKジョーダン・ピックフォードがふたりのセンターバック(CB)の間に出てボールをキープ。しかも足裏でボールを保持するため、ふたりのCBにプレスをかけたい伊東純也、三笘薫の2シャドーは守備の方向づけさえもできず、正面を向いたままピタッと足が止まってしまった。

 これにより、日本の前からのプレスを無力化したイングランドはビルドアップに苦しむことなく、ボールを保持しながら主導権を握り続けた。加えて、前からの守備時はパーマーと前に出たボランチのコビー・メイヌーが日本のダブルボランチを消し、フォーデンがGK鈴木彩艶にプレスしながらサイドに方向づけ。日本の前進ルートをサイドに限定した。

 すると、中央を塞がれた日本の前進ルートは、3バックの両脇を務める渡辺剛か伊藤洋輝の縦方向へのパスか、ボールキャリーのみに。結果的に、蹴ったボールを回収されてイングランドにボールを保持されるという戦況が続いた。

 ただし、前からのプレスがハマらない日本は、次のフェーズとも言えるミドルゾーンでの守備を機能させた。相手がゼロトップだったため、日本の最終ラインは背後を気にすることなく前向きの守備で高い位置をキープできたのも、コンパクトさを維持した日本のミドルプレスが機能した要因のひとつとなっていた。

 前半23分、中盤でボールを保持するパーマーの背後から迫った三笘がボールを奪取。パーマーの油断を突くクレバーな守備によって中央でのカウンターを発動させると、左の中村を経由させてから自ら仕留めることに成功した。ちなみに、これがこの試合における日本の初めてのシュートだった。

 効率よく1点をリードしたあとも、日本はボールを握れないなかでカウンターから3本のシュートを放っているが、試合の構図自体は変わらなかった。

 結局、前半に日本が記録したシュートは4本で、CKの流れから堂安が放ったシュートを除く3本は、いずれもカウンターによるもの。したがって、マイボールになってからシュートまでにかかった時間も11秒、2秒、7秒。敵陣でのくさびの縦パスは1本、サイドからのクロスも3本のみと、昨年9月の強化試合から顕著になった攻撃の傾向は継続された。

 ただ、DFラインの背後を狙う動きがほとんどなかったイングランドも、ボールを保持して主導権を握ったものの、34分のエリオット・アンダーソンのバーを直撃したシュート以外に惜しいシーンを作れず。ボール支配率69%(Sofascore調べ)を記録するなかで、ケイン不在時の課題を残した。

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