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ワールドカップで楽しみな才能溢れる10代選手のデビュー サッカー日本代表にもその候補がいる (2ページ目)

  • 西部謙司●文 text by Nishibe Kenji

【早熟型と才能型】

 W杯に10代で出場する選手は、肉体的に完成に近い早熟型が多い。ペレの最年少記録を塗り替えたノーマン・ホワイトサイド(北アイルランド)、マイケル・オーウェン(イングランド)、サミュエル・エトー(カメルーン)、キリアン・エムバペ(フランス)、ジュード・ベリンガム(イングランド)などは、10代を感じさせないフィジカルエリートだった。

 一方で、肉体的にはまだ仕上がっていないが、技術とセンスで図抜けたティーンエージャーもいる。17歳時のペレがそうだったし、今大会の候補で言えば佐藤龍之介(FC東京)とヒルベルト・モラ(クラブ・ティフアナ)がこのタイプだと思う。

 肉体的に出来上がっていれば年齢は数字にすぎない。ただ、10代デビューの早熟型はW杯でプレーしたことがその後の保証になるとは限らず、能力的にさらに優れた選手が現れれば、年齢の上下に関係なくポジションを失うこともありうる。

 その点で肉体的には未完成だが、技術とセンスでずば抜けているタイプは身体能力の向上とともに地位を不動のものにするケースが多い。近い将来のエースである。

 日本の佐藤は19歳、メキシコのモラは17歳。2歳上の佐藤のほうがそれだけ肉体的完成度は高いが、どちらも本領はフィジカル能力ではない。技術の確かさと瞬時の判断力に秀でていて、その点ですでに成熟したフットボーラーだ。彼らがW杯メンバーに選ばれるかどうか、本大会で活躍できるかどうかは、試合の強度に適応できるかにかかっている。いずれは到達できるラインを、W杯前に越えられるかどうかという時間の問題である。

 ヤマル、エステバン、マスタントゥオーノ、レナート・カール(18歳、ドイツ/バイエルン)は欧州ビッグクラブですでに適応力を証明しているが、佐藤とモラは主に国内リーグでの実績であり、強度への適応力はこれからの短い時間で証明する必要があるわけだ。

 香川真司はこの点で見誤った例になると思う。10代で日本代表にも選ばれていたが、最終的に2010年南アフリカW杯のメンバーには入らなかった(当時21歳)。サポートメンバーとしてチームに帯同するとトレーニングで卓越した力を示していて、大会後に移籍したドルトムントでは優勝の原動力となった。セレッソ大阪でプレーしていた時点で、すでにそれだけの実力は持っていたのだが証明する場がなかったわけだ。

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