サッカー日本代表の選手層の厚みを福田正博は実感した 急成長している佐野海舟に注目 (2ページ目)
【ボランチで存在感が際立った佐野海舟】
日本に目を向けると、ガーナ戦ではボランチで先発した佐野海舟が際立った働きをした。彼が守備で相手を潰してボールを奪ったからこそ、ガーナが物足りなく感じた部分もあっただろう。昨季からドイツでプレーし代表チームには6月から加わっているが、現在はボランチの中核になってもいいくらいの存在感がある。
佐野のよさは、まずは守備だ。ボールホルダーに対して瞬間的に間合いを詰めてボールを奪う能力が圧倒的に高い。遠藤航と遜色ないレベルまできているように感じる。しっかりと相手のプレーを読んでポジショニングを取るからこそ、パスカットが多いのだろう。また、相手ゴールに迫る攻撃面の動きでも、ドイツでどんどん成長しているようだ。
それが表われたのが1点目のシーン。ゴールは南野拓実がしっかり決めたが、起点となったのが佐野のボール奪取だった。久保建英にボールを預け、リターンを受けるとそのままドリブルで持ち運び、相手DFを引きつけて左サイドにいた南野へパス。相手ゴールに向かう姿勢は、ほかにも随所で見られた。
ボリビア戦では遠藤航がボランチで先発したものの、精彩を欠いていたように映った。リバプールで出番が少ないことも影響しているのだろう。これから先、遠藤が本調子に戻れなかった場合は、佐野が主軸になる可能性はある。それくらい今の佐野は日本にとって心強い存在になっている。
ボリビア戦については、小川航基には期待しているからこそ注文をつけたい。日本の1トップには上田綺世がいて小川が控える形になっているが、小川にはもう少し前線で攻撃の起点となるプレーの精度や強度を高めてほしい。
FWというのは、ゴール前に入っていって得点することが仕事だ。小川はゴール前に入った時に力を発揮できるものの、その前段であるゴール前に入っていくための仕事では上田綺世の域にはまだ達していない。
FWがゴール前に入っていくためには、前線でボールを保持して攻撃の起点となり、味方に預けなければならない。そこができれば小川自身がゴール前に入っていくことも増えるし、味方がゴールを狙う機会も増える。だが、そこの部分の精度と強度でまだ成長の余地がある。
ボリビア戦の後半途中で小川に代わって投入された上田綺世は、攻撃の起点となった。だからこそ、町野修斗や中村敬斗のゴールが生まれたことを見逃さないでもらいたい。小川がこの部分を高めていければ、日本にとって大きな戦力の底上げにつながるだけに期待している。
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