セルジオ越後「サッカー日本代表はブラジルに勝った喜びで、その前の3試合を忘れてはいけない」 (2ページ目)
【心配なのは今回招集されなかった三笘薫】
今後は11月に国内での親善試合が2試合(相手はガーナ、ボリビア)あり、12月にワールドカップ本大会の組み合わせ抽選会が行なわれる。年が明ければ、来年6月開幕の本大会までは、あっという間だ。
来年3月にアウェーでのイングランド戦が内定したとの報道も出ているけど、組み合わせ抽選会以降に、日本サッカー協会がどれだけマッチメイクをがんばれるか。そして森保監督は、強豪相手にもっといろいろな戦い方を試してほしい。
選手個々を見れば、僕が選ぶブラジル戦のマン・オブ・ザ・マッチの堂安律は、プレーの安定感が増している。森保監督からの信頼も厚いようで、プレータイムが伸びているのも納得だ。パラグアイ戦、ブラジル戦で得点を決めた上田綺世も大きく評価を上げた。トップのポジションを争う小川航基、町野修斗に、さらに差をつけた。
一方で、心配なのは今回招集されなかった三笘薫だ。今どういう状態なのかわからないけど、ここ1、2年は故障を繰り返し、なかなかコンディションが整わない。持ち味であるドリブル突破を仕掛ける回数も減った。プレースタイルの変化といえばそうなのかもしれないけど、何か中途半端な印象を受けてしまう。左のウイングには中村敬斗がいるとはいえ、三笘がこのまま調子を上げられないとなると、チームに大きなマイナスだ。
3年前のカタールワールドカップでは、ドイツ、スペインに勝ったけど、コスタリカに負けた。直近4試合ではブラジルに勝ったけど、メキシコ、アメリカ、パラグアイには勝てなかった。勝ったブラジル戦も前半は何もできなかった。いいところだけをピックアップするのではなく、課題をしっかりと分析して次につなげないといけない。
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著者プロフィール

セルジオ越後 (せるじお・えちご)
サッカー評論家。1945年生まれ、ブラジル・サンパウロ出身。17歳の時に名門コリンチャンスのテストに合格し、18歳の時にプロ契約を結び、MF、FWとして活躍した。「エラシコ」と呼ばれるフェイントを発案し、ブラジル代表の背番号10を背負った同僚のリベリーノに教えたことでも有名。1972年に日本リーグの藤和不動産(湘南ベルマーレの前身)から誘いを受け、27歳で来日。1978年から日本サッカー協会公認の「さわやかサッカー教室」で全国を回り、開催1000回以上、のべ60万人以上を指導した。H.C.日光アイスバックスのシニアディレクター。日本アンプティサッカー協会最高顧問。公式ホームページ【http://www.sergio-echigo.com】
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