サッカー日本代表にまさかの「歴史的敗北」 ブラジルに「ミスの連鎖」はなぜ起きたのか (2ページ目)
【「不機嫌になるのは普通」】
後半頭から高い強度のプレスをかけてきた日本に、混乱が生じた。52分、中盤でカゼミーロが堂安律の背後からの寄せに嫌がるような横パス、さらにルーカス・パケタも鎌田大地のプレスにバックパス。これを受けたセンターバックのファブリシオ・ブルーノは上田綺世の寄せを受け、判断を迷ったのか、腰砕けになって、コースカットに入っていた南野拓実にパスし、これを打ち込まれた。
「日本は後半からいいプレーで、プレスの強度が上がり、ビルドアップのところが困難になりました」
アンチェロッティは言う。カオスは伝播していた。失点の10分後、ファブリシオは中村敬斗のシュートをクリアしきれず、ゴールに蹴り込む。これもミスだが、公式も中村の得点としたように、実はディフェンス全体の問題だった。左サイドバックのクロスへの寄せは甘く(伊東純也は常に優位だった)、逆サイドまで振られ、中村もフリーだったのだ。
「個人のミスでメンバーから外すとかはありませんが......ミスはチームに影響し、バランスを崩したのは間違いありません。(失点し)ファイティングポーズを失い、(日本の攻撃に対する)リアクションもできませんでした。チームがコントロールを失い、メンタル面が落ち込んだのが最大のミス。よくない結末に結びついてしまいました」
アンチェロッティは務めて冷静に説明したが、2-2とされた約10分後には、CKから上田綺世に前に入られ、ヘディングシュートで失点した。上田にはその前にも決定的なヘディングを打たれており、完全に後手に回っていた。3-2と逆転された後、冷えきったブラジルは反発力も見せられなかった。
「これでよくはありません。チームが敗れたとき、不機嫌になるのは普通のことでしょう。みんな不愉快だし、私も選手たちも、負けるのは好きじゃありません。だからこそ、こうした敗北から学ぶべきで、それがフットボールなのです」
アンチェロッティは語ったが、日本の歴史的勝利は同時に王国の歴史的敗北を意味した。よほどの成果=ワールドカップ優勝ぐらいのことを達成しなければ、この汚点を消せないだろう。それは伝説的な名将にとって耐えがたい恥辱に違いない。
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