サッカー日本代表の親善試合の勝敗に一喜一憂するな 福田正博がワールドカップへの準備に期待すること (2ページ目)
【選手起用の狙いを理解する】
森保一監督からすれば、この時期の親善試合では選手たちのさまざまな可能性を探っているところだろう。顕著だったのが、アメリカ戦の後半からフォーメーションを3バックから4バックに変更し、左サイドバックに瀬古歩夢(ル・アーヴル)を起用したことだ。
当然ながら、森保監督をはじめとするコーチ陣は、瀬古の本職がセンターバック(CB)で、サイドバック(SB)に不慣れなことは理解している。それを承知のうえで瀬古を左SBに起用した意図を汲む必要があるだろう。
現在の日本代表はCB陣に故障者が多く、冨安健洋(無所属)、伊藤洋輝(バイエルン)、高井幸大(チェルシー)、谷口彰悟(シント=トロイデン)、町田浩樹(ホッフェンハイム)といった顔ぶれを欠く。実績があり、W杯アジア予選でも結果を残した彼らが不在なうえ、W杯本番までにピッチに戻れる保証もない。
森保監督は最悪の場合に備えたチームマネジメントとして瀬古のユーティリティー性を探ったのだろう。W杯に連れていける選手数は限られ、ひとりの選手が複数ポジションを務められれば、メンバー選考において大事な要素になるからだ。
つまり、メキシコ戦に3バックの左CBでスタメン出場した瀬古が、アメリカ戦で左SBとしてもアピールできていたとすれば、W杯本番の日本代表への生き残りに近づいたはずだ。親善試合は10月、11月と続くが、目先の勝利だけではなく、先を見据えたメンバー構成をしているのには、相応の狙いがあることを理解すべきだ。
また、アメリカ戦はGK大迫敬介、CB荒木隼人(ともにサンフレッチェ広島)のJリーグ組がスタメンで出場した。日本代表は海外組が主力となっているなか、Jリーグ組も遜色なくやれることを見せてくれた。これはJリーグの存在意義を考えるうえでも大きな収穫だった。
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