サッカー日本代表の「攻撃的ウイングバック」は機能しているのか メキシコ相手に守備では奮闘もクロスは... (2ページ目)
【試合途中からはほぼ互角の展開に】
ただ、これだけ激しく前からプレスを仕掛けると、さすがに90分はもたない。それも考慮してか、15分を過ぎると日本は主にミドルゾーンをボールの奪いどころに設定する戦い方に変化した。
同時に、4-3-3でボールの出口が見つけられなかったメキシコも、立ち位置を修正して日本のプレスを回避。左SBの23番(ヘスス・ガジャルド)が左大外のレーンで高い位置をとると、2枚のCBと右SBの2番(ホルヘ・サンチェス)が左へスライドして3バックに可変。インサイドハーフふたりのいずれかがワンボランチの4番の脇に落ち、「3-2」のかたちに変化させて、日本の前からの圧力を弱めること成功している。
以降、日本はやや優勢に試合を進めるものの、シュートにつながるシーンが激減。試合はほぼ互角の展開になった。
日本がこの試合で最も大きなチャンスを迎えたのは、後半早々の53分。鎌田の自陣からの縦パスを上田が右に展開し、堂安が右ポケットに進入する久保にスルーパス。受けた久保が右足で浮いたピンポイントクロスを供給し、ファーで南野が右足ボレーでゴールを狙ったが、惜しくもシュートはバーを越えた。
ただ、それを最後に、後半はロングボールも多用したメキシコが日本陣内でプレーする時間が増え、それに伴って日本の両WBが最終ラインに吸収されて5バックで対応する時間が長くなってしまった。
この現象は、2度の選手交代でも大きく変わらず。日本は試合終了間際に相手CBの5番が退場するまで思うような攻撃を仕掛けることができなかった、というのが実際のところだった。
最終的に、ボール保持率はメキシコの51%に対し、日本は49%(sofascore調べ)。シュート数も、メキシコの8本対日本の9本(前半は4本対5本)と、ほぼ互角だった。
ビッグチャンスでも、日本は前述の南野のシュートシーンと、終了間際に遠藤の前進から創出された上田の抜け出しから相手5番のカード覚悟のファールを誘ったシーンの2回。メキシコも、フリーキックで6番(エリック・リラ)がヘディングシュートを放ち、GK鈴木彩艶の好セーブに阻まれた68分のシーンと、88分に8番(カルロス・ロドリゲス)のクロスに対して処理を誤った前田大然の背後で11番(サンティアゴ・ヒメネス)が迎えた決定機を決められなかったシーンの2回と、こちらも互角だった。
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