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北中米ワールドカップ開催は大丈夫か? 「非サッカー大国」アメリカの問題点を摘出 (3ページ目)

  • リカルド・セティオン●文 text by Ricardo Setyon
  • 利根川晶子●翻訳 translation by Tonegawa Akiko

【悪天候で遅延・中断が続出】

●酷暑のなかでの給水タイムは重要だ。通常は気温や湿度などの指数が基準値を超えた場合に導入されるが、クラブワールドカップではすべての試合でこの時間が設けられた。それは給水タイムにスポンサーがついていて、この間にCMを放映するからだ。プレーを止めることは試合結果にも関わってくるが、たぶんワールドカップでも見られるだろう。

●多くのスタジアムはふだんはアメリカンフットボールがプレーされ、人工芝が貼られている。サッカーの試合では天然芝への張り替え、もしくは天然芝と人工芝のハイブリッドが使われるが、その張り替えがあまりうまくいかないケースも。ニュージャージーのメットライフ・スタジアムでは、バイエルンのジャマル・ムシアラやパリ・サンジェルマンのマルキーニョスといった選手が、ピッチ表面の凸凹で負傷したと抗議した。

●とにかく物価が高い。スタジアムでは500mlのペットボトルの水が7ドル(約1000円)、ソフトドリンク9ドル(約1300円)、簡単なスナックセットで28ドル(約4200円)、ビールは30ドル(約4500円。それも30分以上並んで)。家族で行けばすぐに100ドルを超え、それ以外の選択肢はない。貧しい国からの観客にとっては大きな痛手となるだろう。またニュージャージー、マイアミ、シアトルなどの都市では、試合の行なわれる日にはホテルの宿泊料金が最大400%上昇し、1泊の平均料金が250ドル(約3万7000円)から620ドル(約9万3000円)になった。 

●一番の問題はアメリカの天候だ。クラブワールドカップでは少なくとも7試合が悪天候のため、キックオフの遅延や中断を余儀なくされた。そのうち3試合は1時間以上にわたって中断。ベンフィカ対オークランド・シティ戦は後半が2時間遅れで始まり、ベンフィカ対チェルシーは中断後に延長戦に突入したため、試合時間が4時間半を超えた。この時期、アメリカの特に東海岸では雷雨やハリケーンのリスクが高いが、その懸念が当たった。

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