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北中米ワールドカップ開催は大丈夫か? 「非サッカー大国」アメリカの問題点を摘出 (2ページ目)

  • リカルド・セティオン●文 text by Ricardo Setyon
  • 利根川晶子●翻訳 translation by Tonegawa Akiko

【高圧的だった警官たち】

 次にマイナスポイントだ。残念ながらこちらのほうがはるかに多かったし、見方によっては上記に挙げたプラス面もマイナスに転じる。

●セキュリティがあまりにも高圧的だった。制服を着て武装した警官たちは、サポーターをまるで汚いものであるかのように見ていた。言葉による暴力も多く、少しでも言うことをきかないとスタジアム内から退場させると脅してくる。ジャーナリストもサポーターも彼らにとっては潜在的な犯罪者であるかのようだ。

●クラブワールドカップの期間中、アメリカでは同時に3つのサッカーの大会が行なわれていた。これは前代未聞のことだ。地元のMLSは「通常の」リーグ戦が行なわれたし、北中米で最も重要な大会であるCONCACAFゴールドカップ(アジアカップのような大会)も行なわれた。したがってゴールドカップには、クラブワールドカップに参加している北中米のチームのメキシコ、アメリカの代表選手は招集されなかった。さすがにワールドカップ期間に同じ問題は起きないだろうが、こんな日程が許されたのは由々しき問題だ。

●プラス面で、観客動員数は悪くなかったとしたが、試合によって差は激しかった。4分の1以上の試合は1万7000人未満。4試合は9000人未満にとどまっていた。

●いくつかのスタジアムでは、入場する際、持ち物を透明のバッグに入れることが義務づけられていたが、それを知らない外国人サポーターも多く、混乱を招いた。アトランタでは持って入れたバッグが、シアトルではNGだった。 スタジアムのそばでは足元を見て屋台でただのプラスチックバッグが50ドル(約7500円)で売られていた。

●サッカーにほぼ強制的にアメリカ文化が適用された。それが顕著だったのは決勝のハーフタイムショー。スーパーボウルなどではおなじみだが、通常サッカーでは行なわないし、なにより24分と、既定の時間を大きく超えていた。あまりにも長すぎるインターバルは試合のリズムを崩す可能性もある。ハーフタイムショーはワールドカップでも行なわれる予定だ。

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