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サッカー日本代表がたった5日で改善した理由 予選突破は「格下に大勝」の結果にすぎない (3ページ目)

  • 杉山茂樹●文 text by Sugiyama Shigeki

【森保采配への批判は消えたが......】

 問題を挙げるとすればフル出場した最終ラインの3人だ。鈴木淳之介、瀬古、高井幸大は総じていまひとつだった。鈴木は新人で高井も似たようなものだ。瀬古も選ばれたり外れたりを繰り返してきた選手である。インドネシアだったからいいようなものの、相手がオーストラリアならば、決定的シーンを作られていた可能性がある。離脱者(町田、渡辺剛)が出たためやむを得ない編成だったとはいえ、最終ラインの人材は、前線に比べて、好素材が目白押しという感じではない。

 突如、多くの人材をテストしたオーストラリア戦、インドネシア戦を見ていると、徐々に変えることができない森保采配の"貧しさ"をあらためて痛感させられる。

「代表チームに負けていい試合はひとつもない」と森保監督は繰り返すが、実際には負けていい試合はある。勝ちすぎなくていい試合もある。バーレーン、中国、インドネシアを相手に6試合で得点27、失点1。ろくにテストもせずに収めたこの成績を決して褒めるわけにはいかない。怖がり、小心者の采配。優しく言ってもバランス感覚に乏しい監督の采配、となる。

 だが、会見場の空気がそうであったように、このインドネシア戦の勝利で、森保采配を否定的な目で見る人は減るだろう。オーストラリア戦からわずか1試合で、悲観的なムードは雲散霧消した。

 会見場のひな壇に座る監督は実際、ひと安心している様子だった。勝ちたくなる理由をそこに見ることができる。勝利を重ねている限り、批判は出ない。だが、その安心感こそが真の強化の妨げになる。

 ワールドカップ本大会という代表チームにとっての本番から逆算して眺めたとき、足枷になる。世界最速。圧倒的な成績でアジア予選を突破しても、筆者には森保ジャパンが理想的なステップを踏んでいるようには見えないのである。

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著者プロフィール

  • 杉山茂樹

    杉山茂樹 (すぎやましげき)

    スポーツライター。静岡県出身。得意分野はサッカーでW杯取材は2022年カタール大会で11回連続。五輪も夏冬併せ9度取材。著書に『ドーハ以後』(文藝春秋)、『4-2-3-1』『バルサ対マンU』(光文社)、『3-4-3』(集英社)、『日本サッカー偏差値52』(じっぴコンパクト新書)、『「負け」に向き合う勇気』(星海社新書)、『監督図鑑』(廣済堂出版)、『36.4%のゴールはサイドから生まれる』(実業之日本社)など多数。

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