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サッカー日本代表がたった5日で改善した理由 予選突破は「格下に大勝」の結果にすぎない (2ページ目)

  • 杉山茂樹●文 text by Sugiyama Shigeki

【スタメン級が3人になったことでスムーズに】

 一方で、これはある程度予想されていたことでもある。予選突破確率90パーセント以上。この設定のなかで、森保監督は8戦目までテストらしいテストを怠った。判で押したようなメンバーで戦い、世界最速で本大会出場を決めた。大きな収穫を得たとは言いがたい。

 オーストラリア戦のピッチに立った11人のなかで、レギュラー級は鎌田大地と町田浩樹のふたりのみ。その他は新顔とそれに準じるこれまで出場機会に恵まれなかった選手で固められた。

 変えすぎだった。ハマるか否か。パーツになり得るかどうかをチェックすることが代表チームのテストだとすれば、これはベンチのミスになる。テストにならない上に、そもそもテストとしてアンフェアだ。これでは継続性が生まれない。

 佐野海舟と藤田譲瑠チマが組んだ中盤がいい例だ。オーストラリアに対し、1年数カ月ぶりに招集された代表キャップ2回の前者と、E-1東アジア選手権でしかプレー経験のない後者が中盤を組めば、うまくいかないことは見えていた。新人と組ませるべきはベテランないしは中堅だ。佐野海舟を出すなら傍らに遠藤航を据えなければテストにならない。

 また、パスコースを意味する3角形のなかで、経験者がふたりを占めないと、円滑なコンビネーションは期待できない。そうした設定になかった前回は、テストとして問題があると言わざるを得ない。

 上記の2点はオーストラリア戦後の原稿で記したが、インドネシア戦では一転、解消されていた。

 佐野海舟の横には、こちらの指摘どおり遠藤が座った。久方ぶりに1トップに座った町野修斗の脇には、鎌田大地(左)、久保建英(右)が2シャドーとして構えた。ウイングバック(WB)として大外で構える三戸舜介(左)、森下龍矢(右)にとっても、鎌田、久保が比較的近くにいることで、スムーズに試合に入っていけたに違いない。

 中盤より前に限ればオーストラリア戦ではひとり(鎌田)だったスタメン級は、インドネシア戦では3人(鎌田、久保、遠藤)に増えた。三戸、森下、町野、佐野が及第点のプレーができた理由だ。交代で入った選手たちも空回りすることなくスムーズに試合に入ることができた。

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