検索

サッカー日本代表でもっとも重要なのは森保一監督のマネジメント力 福田正博が今後のチームづくりを展望 (3ページ目)

  • text by Tsugane Ichiro

【競争を名目に主力を休ませるか】

 森保監督は、バーレーン戦後のインタビューのなかで「競争」という言葉を発した。これはW杯出場を決めた選手たちに、緊張感と刺激を持たせる狙いがあったのだろう。ただし、勘違いしてはいけないのは、これはすべての選手が横並びの状態で競争するわけではないという点だ。

 サッカーにおいてチーム内にヒエラルキーがあるのは当然で、それがなければチームの根幹も崩れてしまう。まして、予選を通じて選手個々が手にした役割を、W杯本番に向けて「競争だから」と取り上げたら、選手たちにそっぽを向かれる。先ほども述べたように、彼らには大きな自負心があるからだ。

 ただ、日本代表の中心メンバーは所属クラブで主力として戦いながら、代表活動があるたびに長距離移動し、代表戦を戦った後は再び長い時間をかけて所属クラブに戻る。選手本人が自覚しないまま蓄積された疲労はある。それを抜いてフレッシュな状態に戻ってもらうために、彼らを休ませて新たな選手を試すことがあるかもしれない。

 また、移籍への備えもある。ヨーロッパのシーズンは5月で終わり、夏の終わりに新シーズンが開幕する。このタイミングで移籍する選手は、新たな所属クラブでポジションをつかんでもらうことが、W杯に向けた日本代表の戦力アップにつながる。ここで出場機会がないままW杯を迎えるのは不安要素になるため、競争を名目に招集せず、自チームでの活動に専念させるケースも想定される。

 そうしたなかで最初の競争の場になるのが、6月にあるW杯アジア最終予選のラスト2試合だ。対戦相手となるオーストラリア、インドネシアともに残りのW杯出場枠を狙って高い強度で臨んでくる。これはW杯本番を見据えた強化を考えれば、日本代表にとってメリットが大きい。

 この2試合でも初招集の選手を使うというよりは、予選を通じて出番に恵まれなかった選手を起用していくと思う。サウジアラビア戦と同じように、チームの根幹であるキャプテン遠藤航やGK鈴木彩艶などを起用しながら、前田大然や菅原由勢、高井幸大、旗手怜央、古橋亨梧などにさらなる出場機会を与えていくだろう。

 また、3月シリーズは招集外ながらも、予選で招集経験のある選手たちにも出番を与えたいところだ。

3 / 4

キーワード

このページのトップに戻る