U-20日本代表・市原吏音が気になる選手はバルサの18歳 「めちゃくちゃ身体的に強いわけでもないけれど...」 (2ページ目)
【イチかバチかで真ん中に蹴って...】
市原は生まれながらのリーダーである。大宮のアカデミーでは、常にキャプテンを任されてきた。
「小学校や中学校はキャプテンマークを巻いているだけで、高校もプレーで示すタイプでした。でも、イランには絶対に負けられないし、チームを勝たさなきゃいけないと思って、ハーフタイムとか延長の前に、チームが今どういう状況に置かれているのかっていう話をしました。PK戦の前にも話しましたし」
1-1のままスコアは動かず、勝敗はPK戦に委ねられた。キャプテンの市原はコイントスに臨み、勝利したものの後攻を選んだ。
「みんなのところへ戻って、トスに勝って『後攻だぞ』って言ったら『えっ?』て。先行が有利とか知らなかったし、後攻で勝てる、5人目の自分が決めて勝てるな、という感じがしていたんで。マジでそんな感じがしたんで。ああいう試合って、何かこう降りてくるっていうか......うまく表現できないんですけど」
先攻のイランはふたり、日本はひとりが外した。3-3の状況で、市原はペナルティスポットにボールを置く。決めればU-20ワールドカップ出場へチームを誘い、外したら決着は6人目以降へ持ち越される。かくも大きな重みを持つPKは、なかなか経験できない。
「めちゃくちゃ自己中な考えですけど、失点以外はほぼパーフェクトに守った。後ろはしっかりやったというマインドだったんで、『外しても全然、大丈夫っしょ』と。120分で決めなきゃいけない試合だったから、めっちゃ緊張することもなかったし」
緊張はしなかった。ただ、どこに蹴るのかはすぐに固まらない。わずかな時間のなかで、頭をフル回転させた。
「ボールを置いて助走を取るまで、右か真ん中か、ずっと悩んで。基本的には右に蹴りたかったですけど、グループステージのタイ戦で右に蹴っている。で、真ん中はやっぱり、ちょっと怖い。いつもなら主審に笛を吹かれてから何秒かおいて蹴るんですけど、2回目の笛を吹かれるぐらい考えて。イチかバチかで真ん中に蹴って、ホントよかったです」
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