セルジオ越後による今季の欧州組評「全体的に苦戦ぎみ。三笘と久保には早くビッグクラブの壁に挑んでほしい」
セルジオ越後の「新・サッカー一蹴両断」(2)
そろそろビッグクラブでプレーする姿を見たい photo by Kyodo News
8大会連続となるワールドカップ本大会出場に世界最速で王手。昨年9月から始まった北中米W杯アジア最終予選で快進撃を続ける森保ジャパンだが、日本サッカーの悲願ともいえる「W杯ベスト8」達成に向けて大きなカギとなるのが、さらなる個のレベルアップだ。チームの大半を占める欧州組の現状について、セルジオ氏の評価を聞いた。
【遠藤に関しては心配していない】
前回は2025年の日本代表のスケジュール、マッチメイクの課題を取り上げた。ただ、代表の強化においては、当然ながら個々の選手が所属クラブでどれだけレベルアップできるかがベースになる。今季も数えきれないほどの選手が欧州でプレーしているけど、日本代表の主力クラスに限って見ると、全体的に苦戦ぎみだね。
ファンの期待が高い三笘薫(ブライトン)と久保建英(レアル・ソシエダ)は思うように数字(得点、アシスト)を残せていないし、プレミアリーグにステップアップした鎌田大地(クリスタル・パレス)も試合に出たり、出なかったり。伊東純也(スタッド・ランス)も昨季ほどのインパクトを残せていない。出場機会が大幅に減った遠藤航(リバプール)に関しては、経験もあるし、良くも悪くもプレーの質は安定していて、少ない出番でも守りの役割を果たせるので、実はそれほど心配していないんだけどね。
ケガ人も多い。バイエルンにステップアップした伊藤洋輝のほか、冨安健洋(アーセナル)、谷口彰悟(シント=トロイデン)はいずれも長期離脱中。ワントップ候補の上田綺世(フェイエノールト)は先ごろようやく復帰を果たした。
そんななかで、やっぱり気になるのは、日本代表の攻撃の軸となる三笘と久保だ。それぞれプレミアリーグ、リーガ・エスパニョーラというレベルの高いリーグの、それも中堅クラブでスタメンの座をつかんでいるけど、僕に言わせてもらえば、もっとわかりやすい活躍をして、スターになってもらわないと困る。
昨季後半を故障で棒に振った三笘は今季、開幕からコンスタントに出場している。ただ、ドリブルで抜くシーンがなかなか見られない。縦のコースを切られているので、横パスが増え、決定的なチャンスに絡む機会も減った。それだけ相手に警戒されているわけだけど、なんとか乗り越えて、数字を残してほしい。
久保も昨季、一昨季と比べると、ビッグプレーが減った印象だ。過密日程やチーム事情もあるとはいえ、ちょっと物足りない。
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著者プロフィール
セルジオ越後 (せるじお・えちご)
サッカー評論家。1945年生まれ、ブラジル・サンパウロ出身。17歳の時に名門コリンチャンスのテストに合格し、18歳の時にプロ契約を結び、MF、FWとして活躍した。「エラシコ」と呼ばれるフェイントを発案し、ブラジル代表の背番号10を背負った同僚のリベリーノに教えたことでも有名。1972年に日本リーグの藤和不動産(湘南ベルマーレの前身)から誘いを受け、27歳で来日。1978年から日本サッカー協会公認の「さわやかサッカー教室」で全国を回り、開催1000回以上、のべ60万人以上を指導した。H.C.日光アイスバックスのシニアディレクター。日本アンプティサッカー協会最高顧問。公式ホームページ【http://www.sergio-echigo.com】