検索

サッカー日本代表「史上最強」論に、セルジオ越後「ほんの1年前にアジアカップで2回も負けたことをもう忘れたのかな」 (2ページ目)

  • 渡辺達也●構成 text by Watanabe Tatsuya

【協会のマッチメイクの頑張りに期待したい】

 その意味でまず目を向けたいのが、今年の強化スケジュール。3月20日のバーレーン戦でW杯出場を決めると、最終予選の残り3試合は消化試合になってしまう。

 ただ、幸いにも、このグループはまだ全チームが予選突破の可能性を残しているので、相手は生きるか、死ぬかという気持ちで試合に臨んでくる。強化という意味では、レベルのよくわからない観光気分の相手と国内で親善試合をするよりも、全然いいんじゃないかな。2位、3位争いは最後の最後までもつれてほしいよ(笑)。日本としては、試合ごとに選手を入れ替えたり、3バックだけでなく4バックを試すなどしたり、うまく活用してほしいね。

 一方で、7月の東アジアE-1選手権(韓国)に関しては、森保一監督としても位置づけが難しい。欧州組を招集できないので国内組が中心。欧州組を脅かすような選手の出現に期待したいけど、現実的じゃない。無難にこなすほかない。

 そして、現時点では正式発表されていないけど、9月にアメリカ遠征(アメリカ戦、メキシコ戦)、10、11月には、W杯予選が9月に終わるアルゼンチン、ブラジルといった南米勢との親善試合が計画されているという。これは楽しみだね。アメリカ遠征はW杯本番のシミュレーションになるし、両国ともレベル的に悪くない。

 10、11月に関しては、欧州勢とのマッチメイクが難しい状況が続くなか、アルゼンチン、ブラジルとの試合を組めたら最高だ。アルゼンチンは前回カタールW杯の優勝国、ブラジルは南米予選で苦戦していて「弱くなった」という声もあるけど、逆にそういう時ほど意外とW杯本番で結果を出すからね(笑)。

 森保監督も日ごろから「強い相手と戦いたい」と言っているので、ここは日本サッカー協会の頑張りどころ。ぜひこの2試合を実現させてほしい。それも、できれば国内開催ではなく、欧州開催がいい。相手も含めて、代表の大半を占める欧州組の移動や時差の負担を減らすことを考えれば、そのほうが合理的。選手ではなくスタッフが長距離移動すればいいんだよ。

(2)につづく>>セルジオ越後による今季の欧州組評「全体的に苦戦ぎみ。三笘と久保には早くビッグクラブの壁に挑んでほしい」

著者プロフィール

  • セルジオ越後

    セルジオ越後 (せるじお・えちご)

    サッカー評論家。1945年生まれ、ブラジル・サンパウロ出身。17歳の時に名門コリンチャンスのテストに合格し、18歳の時にプロ契約を結び、MF、FWとして活躍した。「エラシコ」と呼ばれるフェイントを発案し、ブラジル代表の背番号10を背負った同僚のリベリーノに教えたことでも有名。1972年に日本リーグの藤和不動産(湘南ベルマーレの前身)から誘いを受け、27歳で来日。1978年から日本サッカー協会公認の「さわやかサッカー教室」で全国を回り、開催1000回以上、のべ60万人以上を指導した。H.C.日光アイスバックスのシニアディレクター。日本アンプティサッカー協会最高顧問。公式ホームページ【http://www.sergio-echigo.com】

2 / 2

関連記事

キーワード

このページのトップに戻る