サッカー日本代表をも揺さぶる欧州クラブ「出世レース」 遠藤航はリバプールを出るか (3ページ目)
【移籍が日本代表への刺激に】
1月21日(現地時間)に行なわれたCLのリーグフェーズ第7節、リール戦に、遠藤は後半18分から出場した。キエーザ、エリオットも後半途中から交代出場したばかりか、スタメンの中にもジャレル・クワンサー(U-21イングランド代表)、コナー・ブラッドリー(北アイルランド代表)など、出場時間の少ない選手が含まれていた。
ベスト8入りがほぼ決まっているリバプールにとっては事実上の消化試合。だが、出場機会に恵まれない選手が多く出場した理由はそれだけではない。移籍市場との関係もあると考えるのが自然だ。彼らが十分に使える選手であることを他のクラブにアピールする機会にしたとの見方ができる。
遠藤が移籍する可能性は、残留する可能性より高いと見る。リバプールという欧州のトップ10クラブに所属する選手としての格と、出場機会とを天秤に掛けたとき、それでも格を優先するか。要はバランスの問題だが、選手がもっとも欲するのは出場機会だろう。
森保一監督は遠藤について「ふだん、世界選抜のようなメンバーと練習しているので何も心配していない」と述べている。しかし、遠藤自身は21試合戦って54分という国内リーグの出場時間に、ストレスを抱えているはずだ。むしろ遠藤のほうが移籍をしたがっているのではないか、とは筆者の見立てだ。
ただ、そうなると選手としての格は下がると考えたほうがいい。移籍先にもよるが、絶対に選ばれるべき代表選手ではなくなる可能性もある。代表のスタメン争いに少なからず影響は出る。内的要因(選手の実力)ではなく、外的要因によって代表チーム内のヒエラルキーが崩れるのだ。これは緩い予選の環境に置かれた日本にとって、いい刺激と捉えるべきではないか。
日本の欧州組では遠藤と並ぶ格を備える冨安健洋(アーセナル)も、チームを出る可能性は少なくないと見る。今季バイエルンに移籍し、同じくケガで出場機会を逸している伊藤洋輝とは事情が違う。能力は高いが、故障が多い。あてにできない選手だと評価されても不思議はない。
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