谷口彰悟が欧州デビューでコンディション最悪だった理由「VISAが発行されず......」 (2ページ目)

  • text by Harada Daisuke

【朝にベルギーに着いてその足で練習場へ】

── 1年半をカタールで過ごした経験が生きていたわけですね。

「そこから、移籍に際して必要な書類を取得するために、カタールでお世話になっている日本人の方の協力も仰ぎながら、書類の手続きを進め、あちこち回りました。

 それ自体も、かなり大変でした。この書類はどこで取得できるのか。それを聞いて、まずはその書類を取りに行ったことも。また、書き方もわからないので、それがわかる人に聞いたり、自分で調べたりして、なんとか作成して提出しました。なかにはウェブ上で申請できる書類もあったのですが、申請してから承認を得るまでに、また時間がかかったりして(苦笑)」

── 手続きのストレスは、我々でもわかります。それが国をまたぐとなると、なおさらです。

「まさにそうですね(笑)。ようやく書類が揃ったら、今度は外務省にアポスティーユ(領事認証)をもらわなければならず、自ら外務省へも手続きに行きました。

 それらの手続きが終わり、ようやくカタールからベルギーに行けることが決まったのが、シント・トロイデンへの加入が発表された直前だったように思います」

── 手続きがスムーズにいけば、もう少し早い段階でシント・トロイデンに合流できた可能性もあったわけですね。

「その手続きだけで、10日以上はかかっていました。しかもその間、アル・ラーヤンの練習には参加できなかったので、ひとりで身体を動かすしかなかった。

 ようやくベルギーに渡り、安堵しましたが、ところがベルギーの労働局にVISA(査証)を発行してもらうため、シント・トロイデンのスタッフに書類を提出してもらうと、今度は『これでは書類が不十分だ』と言われてしまったんです(苦笑)」

── まさに不測の事態ですね。

「VISAが発行されなければチームの練習にも参加できないし、クラブの施設を使うこともできない。やっとの思いでベルギーに降り立ち、チームメイトとボールを蹴れると思っていたのに、再びひとりで練習しなければならなくなってしまいました。

 そこからもまた、手続きが大変で......。ブリュッセルにあるカタール大使館に行ったら、カタールにあるベルギー大使館の承認が必要な書類があるということがわかり、本人が出向くのが確実ということで、弾丸でカタールにも飛びました。

 シント・トロイデンにとってもカタールから選手を受け入れるのは、初めてのことだったので、クラブの関係者も、契約しているエージェントも、わからないことが多かったんです。

 カタールを経って、朝、ベルギーに着いたのですが、その足で練習場に行き、初めてチームの練習に参加することができました。その時はさすがに『やっとだ......』って思いましたね。実は、それがリーグ第2節、シャルルロワ戦の2日前でした」

2 / 3

厳選ピックアップ

キーワード

このページのトップに戻る