ワールドカップ最終予選、サッカー日本代表の勝敗を識者が予想「全試合、全力投球」するべきか? (2ページ目)

【常連が少ないほうが層は厚くなる】

 基本的には、サウジアラビア、オーストラリアと戦う4試合に負け越さなければ問題はない。その他の3カ国との計6試合に全勝を求めるのは、「運が3割絡む」と言われるサッカーにおいては酷だ。1分けあるいは1敗は覚悟しておきたい。筆者が考える合格ラインは10戦して7勝1分2敗。この成績ならば十分に2位以内は可能。現実的な目標だろう。

 ただし筆者は、最悪、グループ3位でもかまわないと考える。五輪組を含む若手を当初から多数登用した結果ならば、だ。それは欧州組を休ませることにつながる。アジア予選とチャンピオンズリーグ、ヨーロッパリーグ、プレミアリーグ、スペインリーグ等々と比較すれば、レベルはどちらが高いかは明白。欧州の主要なリーグで出場機会を得ている実力派を、毎試合、招集する必要はない。

 常連組の数が少ないほうが、むしろ選手層は厚くなる。総合力は確実に高まるのだ。代表監督に就任して7年目を迎える森保監督。中国戦、バーレーン戦にどれほどのメンバーで臨めば最低限の成績を収めることができるか、塩梅はわかっているハズだ。

 欧州予選を戦う強豪国の監督はそれを毎度、必ずやっている。テストしすぎて失敗することもある。やりすぎた結果、予選落ちした国もある。だが、それは必ず次に活かされる財産でもある。森保采配にそうした姿勢を垣間見ることができれば、少々成績が悪くても批判は控えるつもりだ。

 どの試合も全力投球することだけは止めてほしい。それをすると、格上との対戦が予想されるW杯本大会で伸びシロがなくなる。W杯本大会でベスト8以上を目標に掲げるのであれば、「アジアを勝ち抜くことは大変だ」とか、「予選は別物」とか言わずに、そこから逆算する戦いを見せてもらいたい。

 森保監督には「日本ではまだ先を見越した戦いをすることはできない」と語った過去がある。東京五輪のあとの話だが、アジア最終予選でもその感覚を捨てられないのなら、監督としての資質を疑わざるをえなくなる。10試合をとおして候補選手たちをどう使い回すか。W杯本大会の成績は、それであらかた予想することができる。

 森保采配に目を光らせたい。

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