鮫島彩がパリオリンピックを戦うなでしこジャパンへエール 自身は「サッカーを味わい尽くして」引退 (3ページ目)

  • 早草紀子●取材・文 text by Hayakusa Noriko

【なでしこジャパンへのエール】

――今、ともに戦った選手たちがパリ五輪を戦っています。注目している選手を教えてください。

 誰かを挙げるというのは難しいですけど......やっぱり(熊谷)紗希にメダルをかけてほしいなって思います。先日、紗希と会ったんですけど、彼女はああいう性格なので、ネガティブな話は聞いたことがないし、多分これからも聞くことはないと思うんです。

 だからと言って、大変なことがないわけがない。あの勝負の世界で、日の丸を背負って長年戦って。だからなおさら、紗希にメダルを! って思っちゃいますね。

――そのためには、今、なでしこジャパンには何が必要だと思いますか?

 本当に世界大会は始まってみないとわからないし、始まってみてもチームってわからなくて、一気に波に乗る時があるじゃないですか。だからグループリーグは苦しみながらでもいい。むしろ苦しみながらのほうがいいと思うんです。初戦からワールドカップチャンピオンのスペインですよね? 簡単な試合なはずがない。でも、そこを越えていったら絶対に波に乗る瞬間がくるはずです。

――簡単な相手だと波自体が来ないですから。

 そう! 荒波を越えてこそ。絶対(上に)行けるメンバーが揃ってるんですよ、今のチーム。期待としてはもちろん金メダルだけど、現実的な話をすると、グループリーグって日本時間の夜中に始まるじゃないですか。

――鮫島さんが夜中に起きてサッカーを観るイメージがないんですけど......(苦笑)。

 大丈夫! なでしこは観ます! でもオリンピックってサッカーにあまり興味がない人も観てくれる大会だから、夜中の時間帯でグループリーグだけだとどうしても注目してもらえないんですよ。

 そこを越えて、どこまで行ったらみんな注目してくれるのかなぁ。っていうのは勝手にすごく考えますね。グループリーグを越えたらもう準々決勝だから、そこには勝ち上がらないといけないと思います。さらにもうひとつ行けたらベスト4。そこまで行くと「ここまでクリアできた!」ってちょっと気持ちが変わるんです。

――負けたら終わり、ではなくなり、最終日程までメダル争いができますから。

 そう考えると、ちょっと純粋に楽しさを追求できるんです。ロンドン五輪時の経験がよみがえります(笑)。

3 / 4

厳選ピックアップ

キーワード

このページのトップに戻る