パリ五輪サッカー日本代表で林陵平が注目する4人 チームが機能するうえでとくに大事 (4ページ目)
【仕掛けられる選手は貴重】
――それでは注目選手の4人目にいきましょう。
個人的にすごく注目しているのが、平河悠(ブリストル・シティ)選手ですね。
僕は東京大学の監督をしていた1年目に平河選手と対戦しているんですよ。平河選手のいた山梨学院大学と対戦して、もうボコボコにされたんです。ハットトリックを決められて、ひとりだけちょっと次元が違っていた。だからその時名前を確認して覚えていました。
――林さんから見て、平河選手はどういうタイプですか?
まずはウイングとして仕掛けることができる選手です。自信を持っていて、恐れず行ける。1対1の場面って、仕掛けるのは簡単なように見えて簡単じゃない。やはり自信がないといけないんですが、そこのメンタリティの部分で自信が見えますし、仕掛け方、仕掛けるタイミングもすごくいいと思います。相手陣の深い位置を取れる選手というのはすごく貴重です。
――攻守4局面(攻め、守り、攻→守、守→攻の切り替え)のすべてで高い能力を発揮できるのがよさだと思いました。
サボらないですよね。サボらないで走力があるので、4-4-2で守備をした時の相手の牽制の仕方がすごくうまいです。ふたりのCBが広がった時に牽制をかける、相手が3バックの時の左右のCBの脇にプレッシャーをかけるとか、そのプレッシャーのかけ方がすごくうまいので、守備でもすごく貢献できる選手です。
――平川選手本人が言ってるのは、雑草魂じゃないですけど、自分は非エリートだと。中学の時とかはチームが11人揃わないようなところでやっていたみたいな話をされていて、そんな選手がここまで活躍するという姿を見せたいんだと言っていました。そうしたハートの強さも感じさせますよね。
大学で東京都1部リーグですからね。そこからブリストル・シティまで行っているので。この短いなかでの彼の成長であったり、プレーだけではなくてメンタルの部分もすごくすばらしい選手なので、期待したいですよね。
――はい。ここまで注目選手をうかがってきましたが、あらためて大岩ジャパンにエールをお願いします。
注目選手では4名を挙げましたけど、それ以外の選手も本当にすばらしい能力が備わっています。そして、個人のパフォーマンスは大事なんですけど、グループとして組織としてどう戦うかも、強いチームと戦う上ではやはり大事になってきます。大岩監督が戦術的にまとめたチームが、オリンピックでどれだけ活躍できるかという部分はすごく楽しみにしています。
勝ち負けがありますから、そんなに簡単じゃないと思います。メダルを獲りにいくのは当たり前なんですけど、そうしたなかでもやっぱり1試合1試合、しっかり戦って上を目指していってほしいですね。
著者プロフィール
林 陵平 (はやし・りょうへい)
1986年9月8日生まれ。東京都八王子市出身。ジュニアからユースまで、東京ヴェルディの育成組織でプレーし、明治大学を経て2009年に東京ヴェルディ入り。レフティの大型FWとして活躍した。10年に柏レイソルに移籍し、11年にJ1優勝を経験。その後、モンテディオ山形、水戸ホーリーホック、再び東京Ⅴ、FC町田ゼルビア、ザスパクサツ群馬でプレーし、20年に現役を引退。Jリーグ通算300試合出場67得点。現役時代から海外サッカー通として知られ、メディア出演多数。現在はプレミアリーグからJリーグまで幅広く解説を務め、トップランナーとして活躍中。
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