ミャンマー戦の3バックは攻撃力低下のデータ 森保一監督はこのシステムを今後どのような試合で使うつもりなのか (2ページ目)

  • 中山 淳●文 text by Nakayama Atsushi

【左右の攻撃回数に差が生まれたのはなぜか】

 いずれにしても、3バックでも攻撃的に戦いたいというこの試合の目的からすると、スタメン選びの段階でそこに明確さが失われたことは確かで、それがピッチ上の現象にも出てしまった。

 象徴的だったのが、本職がサイドバックの菅原がウイングバックを務めた右サイドと、左ウイングが本職の中村がウイングバックを担当した左サイドの攻撃回数の違いだった。

 右の菅原は、試合の立ち上がりから相手陣内深いゾーンまで進入するシーンが少なく、結果的に自ら右サイドを攻め上がってクロスを供給したのは、前半25分の1本のみ。後半もクロスなしのまま、62分に退いている。攻撃力を武器とする菅原のプレースタイルからすると、過去の試合のクロス本数と比べても、その少なさが際立った格好だ。

 逆に、初めて左ウイングバックでプレーした中村は、前半だけでクロス4本を記録。もちろん、中村が今シーズンのリーグ・アン終盤戦で縦突破からの左足クロスを習得し始めていたことは確かだが、本来カットインプレーを武器とする中村が、菅原よりも多くのクロスを供給した点は、見逃せない現象のひとつだった。

 さらに言えば、菅原に代わって右ウイングバックに入った相馬勇紀は、約30分のプレータイムのなかで3本のクロスを供給。そのうち1本は、ヘッドで合わせた小川のゴール(75分)のアシストで、相手DF(17番)のイージーミスがあったにせよ、83分にも小川のゴールにつながるアーリークロスを供給した。

 ちなみに、サイドバックも対応可能な相馬の本職はウイングで、攻撃系の選手だ。これは、あくまでも選手を守備系と攻撃系に分類したうえでの比較になるが、少なくともこういった現象が起きてしまったことは、ひとつの事実として受け止めるべきだろう。

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