日本代表のミャンマー戦、シリア戦に望む新布陣 鎌田大地をトップ下に置く3-4-3 (2ページ目)

  • 杉山茂樹●文 text by Sugiyama Shigeki

【シャドーがウイング化した日本代表】

 3-4-2-1は相手ボールに転じると2シャドーが外に開き、5-4-1の体制を作る。だが、ただちに完成するわけではない。2シャドーの移動距離はけっして短くないので、5-4-1に移行するまで何秒か時間を費やすことになる。対峙する相手のサイドバック(SB)はその間、自由な状態にある。高い位置を取ることが可能になる。

 相手が、サイドに各2枚を擁すオーソドックスな4バック(4-2-3-1、4-3-3、4-4-2)のチームなら、3-4-2-1は瞬間、サイドで後手を踏む。ウイングバック(3-4-2-1の「4」の両側)は、ひたすら後退を余儀なくされる。

 これが3-4-3だと話は変わる。3トップの内訳は両ウイングとセンターフォワードである。相手ボールに転じるや両ウイングは、対峙する両SBに即、プレッシャーをかけることができる。サイドで数的不利に陥らずに済むので、両ウイングバックも最終ラインに取り込まれにくい。簡単に5バックになりにくいのだ。

 森保ジャパンは当初、バリバリの3-4-2-1を採用していた。サンフレッチェ広島時代に採用していたサッカーを、そのまま日本代表に持ち込んだが、最近は少し変化していて、2シャドーが外で構えるようになっている。ウイング化しているのだ。

 たとえば先のアジアカップのバーレーン戦。日本は4-3-3でスタートした布陣を終盤、5バックに変えているが、三笘薫(左)と南野拓実(右)はそのままサイドに張って構えた。

 直近の北朝鮮戦(3月)もそうだった。終盤、5バックに転じたが、前田大然(左)と浅野拓磨(右)は、シャドーというよりウイング的だった。

 相手のSBにプレッシャーをかけやすい体制を取ることができていた。言い方を変えれば、少なくとも前線は3-4-3を維持しやすい状況だったにもかかわらず、自ら引いて5バックにした。

 バーレーン戦の終盤、5バック時にした際に1トップを張ったのは浅野だった。足の速いスピード系の選手。ポストプレーはうまくない。4-2-3-1で、1トップ下にボールを収める能力の高い選手がいれば、浅野は活きる選手かもしれない。しかし、3-4-3あるいは5-4-1、5-2-3は、1トップの近くに選手がいない。

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