日本代表のミャンマー戦、シリア戦に望む新布陣 鎌田大地をトップ下に置く3-4-3 (3ページ目)

  • 杉山茂樹●文 text by Sugiyama Shigeki

【「3バック=守備的」を覆す布陣】

 前田大然、上田綺世、小川航基でも、3-4-3の1トップを務めるのは難しい。大迫勇也的な選手がいない限り、満足に機能しないことは明らかだ。

 3-4-3はアルベルト・ザッケローニの定番スタイルだった。もちろんイタリア時代の話で、日本代表監督として3-4-3で戦ったことは結局2試合に終わった。布陣の特徴に適した1トップがいなかったからだ。ウディネーゼの監督時代には、オリバー・ビアホフというドイツ代表の大型CFがいた。その3-4-3は彼あってのものだった。

 過去のこうした経緯から、日本人はすでに3-4-3の特徴について学習済みのはずだ。森保監督がザックジャパンのサッカーを教訓にしていないことが手に取るようにわかる。その時、技術委員長を務めた原博実氏はサッカー協会を去っている。情報の共有ができていないのか。

 もっとも、これまで述べてきた3-4-3は中盤フラット型だ。3-4-3にはもうひとつ、中盤ダイヤモンド型もある。アヤックス、オランダ代表、さらにはヨハン・クライフ、ルイス・ファン・ハール、ジョゼップ・グアルディオラなどが監督を務めていた時代のバルセロナでたびたび使われてきた布陣だ。日本ではイビチャ・オシムが代表監督として1試合、行なっている。大木武監督率いるロアッソ熊本もこの布陣が多い。

 最も5バックになりにくい3バック。1トップ下がいる攻撃的サッカーを代表する3バックとして知られる。「3バック=5バック=守備的」という概念を覆す布陣だが、これもまた「3-4-3」なのだ。

 この中盤ダイヤモンド型3-4-3こそが、筆者がミャンマー戦、シリア戦でテストすることを進言したくなる布陣になる。中盤フラット型の3-4-3より日本の実態に適していると思われるからだ。

 ボールを収めることがうまくないスピード系の1トップでも、1トップ下が近くにいるので、孤立しないで済む。ボールを保持する能力の高い鎌田大地あたりがそこに収まれば、3バックでありながら、4-2-3-1以上に攻撃的なスタイルを保つことができる。

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