C大阪・毎熊晟矢はキャリア4年目で日本代表入り ストライカーだった男はどうやってサイドバックで成功したのか? (5ページ目)

  • 原山裕平●取材・文 text by Harayama Yuhei

【すっかりサイドバックというポジションの虜】

 守備に難しさを感じる一方で、FWの経験が「サイドバック毎熊」の最大の強みを導き出すこととなった。

 FW時代のプレースタイルを、自身は次のように分析する。

「生粋のストライカーという感じではなくて、中間ポジションに落ちていって、周囲との距離感を大事にしながらゴールに迫っていくスタイルですね。点も取るし、チャンスメイクもできるタイプだったと思います」

 そこで培った攻撃センスが、サイドバックでも役立っているというのだ。

「相手の陣地に入った時の周りの選手との連係だったり、相手が一番怖いポケットに入っていくタイミングは、自信を持っていますし、日本のサイドバックのなかでは誰にも負けないと自負しています。その感覚はやっぱり、FWをやっていたことが大きいと思っています」

 近年、サイドバックの役割が多岐に渡るようになってきたことも、毎熊の価値を押し上げた。サイドバックだけではなく、その攻撃センスを買われ、ウイングやサイドハーフで起用されることもあったが、毎熊はすっかりサイドバックというポジションの虜(とりこ)になってしまった。

「前に行ったら行ったで、やりがいもありますけど、今はサイドバックの楽しさを知ってしまったので、このポジションが一番好きですね。

 うしろから作っていくこともやらなければいけないですし、前に上がって攻撃もできる。もちろん、うしろの選手である以上は守備もやらなければいけない。やっぱりなんでもできるところがサイドバックの魅力だと思いますし、現代サッカーではすごく重要なポジションだと思うので、本当にやりがいを感じています」

(後編につづく)

◆毎熊晟矢・後編(5/21配信)>>「香川真司さんがピッチにいなかったら、代表にはなれていなかった」


【profile】
毎熊晟矢(まいくま・せいや)
1997年10月16日生まれ、長崎県出身。大分で生まれて小学校から長崎で育つ。東福岡高校時代はFWとしてインターハイと高校選手権で二冠を達成し、卒業後は桃山学院大学に進学。2020年にV・ファーレン長崎に加入後、サイドバックへコンバートする。2022年にセレッソ大阪に完全移籍し、2023年9月にはベルギー戦で日本代表デビューを果たす。ポジション=DF。身長179cm、体重69kg。

プロフィール

  • 原山裕平

    原山裕平 (はらやま・ゆうへい)

    スポーツライター。1976年生まれ、静岡県出身。2002年から『週刊サッカーダイジェスト』編集部に所属し、セレッソ大阪、浦和レッズ、サンフレッチェ広島、日本代表などを担当。2015年よりフリーランスに転身。

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