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川澄奈穂美、現役女子選手初のJFA理事が語る「プロとは何か」 女子サッカーに見る日本とアメリカの格差とは? (2ページ目)

  • 戸塚 啓●取材・文 text by Totsuka Kei

【WEリーグを見たい海外の人は確実にいる】

「最初はYouTubeで配信されていて、日本からも見ることができました。今はNWSLのホームページで登録すれば、海外の人は無料で視聴できます。国内向けはアマゾンプライムで、というふうに差別化をして、スポーツビジネスとして成り立たせているんです。

 WEリーグはDAZNで配信されていますが、日本語のウェブサイトに海外からアクセスするには、VPN接続をしないと見られないし、海外のカードで決済ができるのか。日本以外の国でWEリーグを観るには、現状ではハードルがすごく高いんです」

 そう言って川澄は、アメリカ在住時の肌感覚を明かした。

アメリカでプレーする前(2011年頃)の川澄奈穂美 photo by AFLOアメリカでプレーする前(2011年頃)の川澄奈穂美 photo by AFLOこの記事に関連する写真を見る「日本に興味を持ってくれる海外の選手って、すごく多いんです。『ナホはどのチームでやっていたの?』とか『私も日本でやってみたいんだけど、どうしたらいい?』と聞かれることが多かったんですね。

 WEリーグを見たい、情報を得たいと思っている海外の人は、確実にいると思うんです。そういった人たちにどうやって届けていくのかを考えていくと、もっと日本のサッカーは普及していくと思います」

 海外へ届けた先の未来も、川澄はしっかり思い描いている。

「WEリーグが世界で配信されて、日本にこんなにいい選手がいるんだとなったら、クラブやリーグとしては少し複雑かもしれないけれど、選手の海外移籍のチャンスが増えると思うんです。そうすると国内では、若手の出場機会のチャンスが増える。

 海外へ移籍した日本人選手が海外の選手と仲良くなって、その選手が日本でプレーしたいと思うかもしれない。そういう人の流れを生み出すことで、ヨーロッパとかアメリカのリーグに近づけるんじゃないかな、と」

 アメリカで、イングランドで、WEリーグが視聴できるようになれば、選手たちを刺激するはずだ。「見られている」との意識が、より高いレベルのプレーにつながっていく。

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