パリ五輪の日本代表はどうあるべきか OA枠を利用してメダルを狙うより必要なこと (2ページ目)
【3戦全敗の北京五輪だったが...】
日本がパリ五輪を勝ち抜くには、イラク戦のままでは厳しいのは確かだ。そこで今後、流れとしては、「3人までのオーバーエイジ(OA)枠採用を」という話になるかもしれない。
たとえば鎌田大地(ラツィオ)、遠藤航(リバプール)、冨安健洋(アーセナル)と、所属クラブの格式と実力を考えても、明らかに補強になる選手がいる。あるいは、上田綺世(フェイエノールト)、守田英正(スポルティング)、板倉滉(ボルシアMG)という選択肢もある。週刊誌報道で代表からは"敬遠"されているが、"地元"のフランスリーグで活躍を続ける伊東純也(スタッド・ランス)も、本来であれば有力候補だろう。
五輪はFIFAの大会ではないため、代表の拘束権はない。欧州のクラブと各自、交渉する必要がある。それは鈴木唯人(ストラスブール)、斉藤光毅、三戸舜介(ともにスパルタ)など、今回の予選に出場しなかったパリ世代も同様だろう。クラブにとっては、ケガや疲労などのリスクのほうが大きいのだ。
単純に考えても、欧州組のOA3人にパリ年代でもある久保建英(レアル・ソシエダ)が加わったら、一気にメダルを狙える陣容になるが......。
そもそも、五輪代表はメダルを狙うためにあるべきなのか。
五輪代表はすでに、いわゆる育成年代ではない(欧州では21歳以下が育成年代とされる)。とはいえワールドカップと明確に区分けするため、フル代表でもない、「23歳以下+OA」という設定が作られた。いわば苦肉の策の産物である。これをもし育成年代の延長と捉えるなら、同年代の選手が経験を積むべき場だろう(実際、東京五輪のU-23フランス代表は、ほとんどが20歳前後のユース代表に近かった)。
日本は2000年シドニー五輪以降、ほとんどの大会でOAを使用している。唯一、使用しなかった北京五輪は3戦全敗と惨敗だった。しかしながら、当時のメンバー18人中、なんと16人がフル代表になっている。しかも、長友佑都、内田篤人、吉田麻也、本田圭佑、香川真司、岡崎慎司と、多くの選手がその後の代表の中心を担い、欧州でも活躍しているのだ。
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