パリ五輪の日本代表はどうあるべきか OA枠を利用してメダルを狙うより必要なこと (3ページ目)
「挫折をバネにする」
同年代の選手同士でひとつになって戦い、力及ばずに敗れたとしても、その挫折から立ち上がることで、猛烈なパワーを生み出す。もちろん、一丸となって勝利を勝ち取ることができればすばらしいが、たとえ敗れても大いなる価値がある。育成年代と捉えれば、それこそあるべき姿だろう。
五輪の舞台に立てなかった選手が、目覚ましい成長を遂げている例も忘れるべきではない。シドニー世代の遠藤保仁、アテネ世代の長谷部誠、ロンドン世代の大迫勇也、リオ世代の伊東、守田、鎌田など、枚挙にいとまがない。挫折こそ闘志に火をつけるのだ。
メダルにとりつかれてOAにすがるよりも、23歳以下の選手の力を糾合し、どこまで戦えるか。もしOAが入ってきたら、高井や荒木のような才能のきらめきを曇らせることになるかもしれない。ここは彼らの未来に投資すべきではないか。たとえ敗れようとも――。
著者プロフィール
小宮良之 (こみやよしゆき)
スポーツライター。1972年生まれ、横浜出身。大学卒業後にバルセロナに渡り、スポーツライターに。語学力を駆使して五輪、W杯を現地取材後、06年に帰国。著書は20冊以上で『導かれし者』(角川文庫)、『アンチ・ドロップアウト』(集英社)など。『ラストシュート 絆を忘れない』(角川文庫)で小説家デビューし、2020年12月には『氷上のフェニックス』(角川文庫)を刊行。パリ五輪ではバレーボールを中心に取材。
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