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谷口彰悟「アジアカップを振り返らずに、前には進めない」ベトナム戦のピッチ上で覚えた違和感の正体 (4ページ目)

  • text by Harada Daisuke

【見返してやる、這い上がってやる】

 また、チーム全体を見れば、自分以上にチャンスに恵まれていない選手もいた。そうした選手たちがポジティブな姿勢で練習に臨めるように、自分が雰囲気や緊張を保つこと、そして準備を怠らない姿勢だけは、率先して見せようと思っていた。

 チームはグループステージを突破し、ラウンド16でバーレーンに勝利したが、続く準々決勝でイランに1−2で敗れた。

 敗れたイラン戦は、胸を張れる内容ではなかったかもしれないが、1−0で前半を折り返した時には、戦い方を修正しながらどう勝ちに行くかという戦いはできていたと思う。ただし後半になり、相手のアグレッシブなパワープレーに対して、自分たちのリズムで試合を進める時間が減った印象を、ベンチから感じていた。

 優勝を目指して臨んだアジアカップで、準々決勝敗退という結果に終わり、選手やメディアも含め、多くの人たちが敗れた原因や理由を語り、つづっていた。

 個人的には、チームは同じ大会でも、ワールドカップと同じ熱量でアジアカップに臨んでいたのか、戦えていたのだろうかと振り返った。

 森保一監督は予選でも必ず「ここは日本代表だ。スイッチを切り替えてくれ」と話している。アジアカップでもクラブのことを忘れて、日本代表の活動に100パーセント集中して臨んでいたのか。これからも続くワールドカップ予選を戦っていくためにも、それぞれが自分の心に問いかけるべきだろう。

 大会を終え、アジアカップで直面した悔しさが、新たなエネルギーを生んでいる。

 第2戦以降、出場機会を得られなかったこと、チームが準々決勝で敗退したこと、また、自身がプレーするカタールが優勝した悔しさも相まって、見返してやる、這い上がってやるという気持ちがにじんでいる。

 実は大会前、アル・ラーヤンSCのチームメイトからは、「日本が優勝するだろう」と言われていた。しかし終わってみれば、カタールが優勝し、僕が彼らに対して「おめでとう」と祝福する立場になった。

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